演技のやりがいを尋ねると、「不安な気持ちや緊張が毎回ありますが、監督さんや共演者の方が『涼香ってきっとこういう人だよね』、『こうやったら涼香になれるよね』と、行動で示してくれて、皆さんのおかげで涼香になれたかもしれないという瞬間はすごく楽しいです」とうれしそうに語る。

そして、第5話が佐藤にとって特に重要な回に。涼香と妊婦を乗せた病院のエレベーターが火災で停止し、音羽と大物政治家・天沼夕源(桂文珍)とともに閉じ込められてしまったが、危険な状態に陥った妊婦を助けようと奮闘する涼香を佐藤が熱演。視聴者から絶賛の声が続出した。

このシーンでは、賀来の言葉に助けられたという。「『最低!』と言って音羽先生を睨みつけるシーンがあり、そういう表情や言葉を普段使ったことがなかったので、どうしたらいいんだろうって思ってたんです。そうしたら賀来さんが『怒りの表情を出したいときは顎を出したらいいんだよ』と教えてくれて、カメラに向かって顎を出しながら『最低!』って言ったら、賀来さんが笑いながら『ウソだよ!』って。その瞬間、現場にいた皆さんが笑ってくれて、緊張が解けた感覚があって、それまで失敗しちゃいけないという気持ちばかりでしたが、賀来さんの言葉で涼香に集中できました」。

さらに、第5話と第8話の演出を担当した松木彩監督の言葉で演技に少し自信が持てたと打ち明ける。

「第5話のエレベーターのシーンについて、第8話の撮影の合間に、松木監督から『赤ちゃんが助かったときの涙はどうやって出たものなの?』と聞かれて、『演じているという感覚は正直なくて、音羽先生やお兄ちゃんが必死に赤ちゃんの命を救おうとしているのを見ていたら、助けることができて本当によかったって思って。だから私は、一視聴者として泣いただけなんです』と伝えたら、『それも立派な演技ですよ』と言ってくださって、あの瞬間ものすごくうれしくて、『私もしかしてお芝居できていたのかもしれないな』とちょっとだけ自信になりました」。