冬木役を通じて、バイプレイヤーの大切さを改めて感じることもできているという。「麻酔科医の仕事は、患者さんの心拍や血圧など数値を見ながら麻酔のガスの量を調節し、輸血のスピードを上げたり、薬剤を投与したり、画的には地味ですが、それがあるから執刀医は術野に集中できるし、手術全体が成り立っている。縁の下の力持ちという意味ではバイプレイヤーの役割とすごく似ている。メインの人が輝けるように全力でサポートし、陰ながら最善を尽くす、脇に徹する美学。こういうことをしっかりできる役者でありたいなと、麻酔科医から学ばせてもらっている」。

そして、「野球に例えるとキャッチャー、バンドに例えるとドラマー。ピッチャーやボーカルを支える人がしっかりしてないとチーム全体が勝つことはできない。バイプレイヤーの矜持として、このドラマでそこをしっかり描けたらもう一皮むけるのかなと思っています」と自身の成長に期待。「僕が役者としてやっていることと麻酔科医がやっていることの根本的な志が似ているのかもしれないという発見から冬木先生のキャラクターに近づいたので、そこは大事にしたい」と続け、「機会があればメインもやりたい人ではありますけど(笑)」と遠慮気味に一言加えた。

冬木が縁の下の力持ちとして支えているTOKYO MER。キャスト陣のチームワークは抜群のようで、小手は「程よい気の使い方で、すごくバランスのいいカンパニー。手術シーンの連携は格段に上がっています」と手ごたえを感じている。「3話以降は撮影前に手術リハーサルの時間が設けられていませんが、代役の方が撮影したビデオを見ただけでみんな把握できている。チームとしての連携が素晴らしく、話を進めるごとに高まっていて、画面を通して伝わっているのではないかなという実感はあります」。

主演の鈴木は、よりよいシーンにするための提案を行ったり、わからないことがあれば医療監修の先生に逐一質問したり、意欲的に撮影に参加しているという。鈴木の完璧な役作りをどのキャストも絶賛しているが、小手も「亮平さんの手術に対する知識や勉強の仕方は格段にすごい」と感心。「その姿を見ているからこそ、麻酔においては負けてられない。同じくらいの熱量を持っていないとチームに失礼だと思い、すごく勉強しています」と刺激を受けているようで、「麻酔に関する専門知識は誰よりも詳しい自信はあります」と胸を張った。

ERカーのことも「(TOKYO MERの)8番目のメンバーに思っている」と語る冬木。これまでの撮影の中で「初めてERカーを見た瞬間」は特に印象に残っているそうで、「ガレージにERカーが止まっているのを見て、TOKYO MERとしてこの車に乗って任務を全うしていくのかと、その瞬間の感動というか意気込みというか、リアルにこれとともに3カ月以上の撮影を乗り越えていかなきゃなという感情は今でも大事にしています」と、冬木としても小手自身としても気が引き締まった瞬間だったと振り返る。

さらに、「これからもコイツと一緒に闘っていかなきゃなという気持ちがあるし、ERカーとの出会いは特別です」と熱く語り、「冬木先生はERカーの手術室が主戦場で、第二の居場所。ただ、ERカーの手術室はエアコンがついていないので撮影がしんどいです(笑)」とも。