――飛羽真はこの1年、仲間が離れていったり、幼なじみの少女ルナとの再会が叶わなかったりしたときなどで、泣いたり叫んだり、激しい感情表現が印象的でしたね。
ストーリーが進んでいき、飛羽真の身の周りにどんな出来事があったのかを理解していくうち、いろいろな感情を表現するようになりました。最初のころはまだ「ルナって誰なんだろう。昔、いっしょに本を読んで、仲良くしていた女の子なんだな」と思っていて、どう気持ちを込めていいのかわからないところがありました。だんだんホン(脚本)が上がってくるにつれ、飛羽真の気持ちもわかるようになり、演じやすくなっていきました。
第33章のとき、杉原(輝昭)監督と話していたのを思い出すのですが、僕は「飛羽真はルナにずっと“謝りたい”という思いで、彼女を捜し続けていた」と思いを込めるようにしていました。もう一度会う約束を果たし、見つけ出して、自分の口から謝らなければならない……。そんな気持ちで取り組んでいたので、ルナとようやく対面できたときは、もう涙がボロボロ出てきていましたね。
杉原監督からは「あと、お前のシーン撮るだけだから、好きなように(芝居)していいよ」って言ってもらえて、いざ本番になるといろいろな感情がこみ上げてきて、泣きながら演技をしていました。ルナに会うことができて、やっと謝ることができる!という自分の思いがあふれだしたのも含めて、いろんな感情がぐっちゃぐちゃになりながら挑んだ、あのシーンは強く印象に残っています。
――お世話になった方で、ひとことお礼を言うならばどなたですか?
共演したキャスト、そしてスタッフのみなさん、すべての方々にお礼を言いたいところですが、あえて今は、もっとも近い場所から僕を応援してくれ、支えてくれたマネージャーに「ありがとう」と言いたいです。もう僕の担当について4~5年になるのですが、ずっと芝居がやりたいという僕の希望を聞いて、面倒を見てくれました。
なかなか結果を出すことができず「いつか、役者として芽が出るといいね」なんて励ましの言葉ももらいました。『仮面ライダーセイバー』の仕事が決まって、泣いて喜んでくれたのも嬉しかった。『セイバー』のときもずっと一緒にいて、スケジュールや体調管理なども面倒見てくれて、ありがたかったですね。今後もよろしくお願いします!
――TTFCの配信ドラマ『仮面ライダーセイバー×ゴースト』では、『仮面ライダーゴースト』(2015年)の天空寺タケル役・西銘駿さんとの共演を果たされましたが、先輩ライダーの西銘さんの印象はいかがでしたか。
さすが先輩ライダーだけあって、共演はとても勉強になりましたね。西銘さんは、現場を盛り上げる天才だと思いました。率先して声を出し、スタッフさんたちと常にいい雰囲気を作ろうとされている。僕たちとは「空気の作り方」が違うなと感じたんです。西銘さんと同じく、僕もタイトルを背負わせていただいている“座長”的ポジションとして、西銘さんの姿勢は本当に勉強させていただきました。作品も『セイバー』と『ゴースト』の要素が巧みに融合していて、撮影はすごく楽しかったです。
――映画『セイバー+ゼンカイジャー スーパーヒーロー戦記』では、芽依(演:川津明日香)ユーリ(演:市川知宏)と一緒に、飛羽真が『機界戦隊ゼンカイジャー』の世界に行ってしまう展開だそうですが、ゼンカイジャーのホームというべき「駄菓子カフェ カラフル」のセットに立たれたときのご感想はいかがでしたか。
やっぱり変な感じでした(笑)。最初、ノーザンベースのほうにゼンカイザー/五色田介人役の駒木根(葵汰)くんが入り込んできたシーンを見学していたんですけれど、そのシーンのビジュアルがあまりに突拍子もなくて。「いったい何を撮ってるんだろう」っていうとまどいを持ちました。でも僕がカラフルに行ったときは、周りにジュランやヤツデ(演:榊原郁恵)さんがいらっしゃって、もともとテレビで観て親しみを持っていた『ゼンカイジャー』の世界観が一気に自分の中に入ってきたので、意外と芝居がしやすかったですね。
――異世界ワンダーワールドと『ゼンカイジャー』の世界は、また違った感覚なんでしょうか。
それはもう、他のヒーローが活躍している世界に、まったく別の番組のヒーローが行くわけですから、違和感といったらとんでもないですよ。それがこの映画の狙いでもあるんです。
――物語の鍵を握る謎の少年役で出演されている鈴木福さんは、幼いころから仮面ライダーやスーパー戦隊が大好きとのことで、内藤さんたちともすぐ仲良くなられたそうですね。
僕にとっては芸能界の大先輩ですから、よろしくお願いします!という感じでした。福くんのほうから「ぼく、仮面ライダー大好きなんです」と話しかけてくれたおかげで、すぐに打ち解けることができました。
クライマックスには歴代仮面ライダーと歴代スーパー戦隊レッドが決戦場に大集合するのですが、そこで福くんはテンション最高になってて、かわいかったです(笑)。僕らはすべてのヒーローの名前を知っているわけではないですが、福くんはすべて知っていて、どんな仮面ライダーもどんなレッドもすぐ言い当ててしまいます。僕が「あのヒーロー、見たことあるなあ」とつぶやいたら、福くんがすかさず「あれは~年放送の~レッドですよ。秀さんが子どものころにやっていた番組ですよ」なんて説明してくれたのが凄かった。福くんのライダー&戦隊話を聞くのが、現場での楽しみでした。