――テレビシリーズから年月が過ぎた「現在のタケル」を演じる上で、西銘さんが特に気をつけたこととは?

タケルが以前から持っている無邪気さ、あたたかさ、優しさは残しつつ、大天空寺の住職になって、人としてちょっとだけ立派になったタケルを演じようと意識しました。前みたいな高い声じゃなくて、少し声のトーンも落として、落ち着いた雰囲気を出してみたんです。ファンの方から批判もあるかな?とも思ったんですが、「演技が変わって良くなった」みたいにお褒めの言葉をもらえたときは、すごくうれしかったですね(笑)。

――『セイバー×ゴースト』『スペクター×ブレイズ』2作のストーリーについては、どんな感想を持たれましたか。

僕は福田(卓郎)さんの脚本が大好きなんです。どういうところかというと、シリアスな展開の中にちょくちょく“笑い”を挟んでくる、緩急のバランスのよさがいいんです。マコト兄ちゃんのシスコンぶりとか、ジャベルがマジメゆえにひどい目に遭うシーンとか、シリアスに落とし過ぎるのではなく、ところどころにギャグを入れて、ギリギリのラインを走っているのが『ゴースト』のいい部分じゃないかなと思うんです。『セイバー』の芽依は、シリアスなところに明るさを盛り込むという意味では御成に近いポジションですよね。『セイバー』も『ゴースト』も共通する要素があるため、演じていて楽しかったですし、『ゴースト』の世界観がいっそう好きになりました。

――西銘さんは『スペクター×ブレイズ』にも出演されていますが、ラストにおける「タケルが構えた手に、マコトがパンチする」シーンはテレビシリーズ最終話(特別編)「未来!繋がる想い!」でのマコトとタケルの別れ(マコトの手にタケルがパンチ)を思わせて、とても印象に残りました。

イエイ!ってやつですね。あのシーンを撮るときは、山本くんから「お前、ここで何かやるよな!!」みたいに目線で合図があったので、テストのときにアドリブでやったんです(笑)。最初は、画面に入ってきたタケルとマコトが笑い合うだけだったんですけど、パンチのくだりも撮ろうということになって、そのあたりから内藤くんと僕とでアドリブ演技が続いていくんです。飛羽真がマコトに「仮面ライダーなんですよね!?」とものすごいテンションで聞いて、タケルが「一応ね……」と言ったのもアドリブ。とっさに絞り出したのが「一応ね」でした。もっといい言葉はなかったのかな、と後になって思いましたけど、これが僕の6年間の俳優生活のすべてです(笑)。

――いつかまた、大天空寺の住職・天空寺タケルが「仮面ライダー」の世界に来てほしいと思います。西銘さん的には、どんなシチュエーションで帰ってきたいですか。

西村和彦さんが演じたタケルのお父さん・天空寺龍のように、40代、50代で大人として味が出てきたころ、ふたたびタケルを演じてみたいです。大先輩たちのように、出てきただけで現場の雰囲気を変えてしまうような、存在感のある芝居ができればと思います。

――今後、西銘さんが演じてみたいと思うのはどんな役柄ですか?

これからは実年齢に応じた「大人」の人物を演じたいですね。今まではだいたい学生の役とかが多くて、社会人の役を演じることもありますが、やっぱり明るい奴になっちゃうんです(笑)。自分の可能性を探る意味でも、明るさを取っ払ったネガティブな人間とか、暗く沈んだディープな男とか、シリアスな芝居がきまる俳優になりたいです。これからも頑張っていきますので、西銘駿をどうぞよろしくお願いいたします!

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