――タケルの衣装をひさびさに身に着けたとき、どんな思いを抱かれましたか。

少し小さくなっていました(笑)。放送当時から比べると、10キロくらい増えていたのかな。6キロ減量して、なんとか衣装を合わせました。でも、現場ではスタッフさんからけっこうイジられましたね。「ハッピ短くなってない?」とか。いやあ、申し訳ないです(笑)。

――仮面ライダーセイバー/神山飛羽真を演じる内藤秀一郎さんと共演されたときのことを聞かせてください。

もうずっと「仮面ライダーの先輩からいろいろ学びたい」みたいな姿勢で接してくれて、ありがたかったです。コロナ禍の影響で先輩ライダーとのコラボ企画がなかなか実現せず、内藤くんとしては「先輩と共演して学びたかった」ってずっと残念がっていました。今回のコラボ作品が決定して「めちゃめちゃテンション上がってます!」とも話していましたね。僕は「いやいや、僕も大したことないですから」なんて言っていたんですけど、ひさしぶりに変身ポーズを取ったら、眼魂(アイコン)をベルトの中に装填するのを何度も失敗してしまい、結果的に変身を4回ほどお見せすることになりました(笑)。

――何かを学んでほしくて「見せた」のではなく、NGを出した結果、4回も変身を「見せた」わけですか。

ひさびさに眼魂を手にしたら、ぜんぜん感覚がつかめなくて「あれ、こんな感じだったかな?」みたいな。当時の僕は、なぜあんなにスムーズに入れていたんだろうって、不思議に思いました。感覚を取り戻すまでに、けっこうな時間がかかりました。でも内藤くんは、そんな僕のこともしっかりと見てくれました。いやあ、いい人だなあって密かに感動していたんです。

――タケルも飛羽真もどちらかというと初対面から人と仲良くなれる、物腰の柔らかなキャラクターですから、今回の共演劇も特にいざこざが起きるのではなく、スムーズに行っている印象ですね。

タケルが飛羽真の小説の読者だったりしましたからね。演じている僕が言うのも変ですが、タケルって誰とでも共演しやすい奴だと思うんです。お寺の息子なので、他人に対しては基本敬語ですし、たとえタメ口のときでもすごい気さくで、全力で仲良くなりに行くタイプ。今になって、タケルの役作りをこのような形にしていて正解だったかな、なんて思っています。

――『仮面ライダーセイバー』のことは以前からご存じでしたか。

テレビはちょくちょく時間のあるときに観ていました。内藤くんからは「いまこんな風にお話が進んでます」って教えていただいて、だいたいの全体像はつかんでいましたね。でも、今回のお話はタケルと飛羽真が初めて出会う筋書きですから、あまり詳しく『セイバー』のことを知っていなくてもいいな、と思ったんです。初対面同士でも仲良くなれるタケルと飛羽真……みたいな関係を意識しましたから。内藤くんも芽依役の川津明日香さんも、役と同じく明るさ満点で、とてもステキでした。

――タケルと飛羽真の同時変身もカッコよく決まりましたね。変身ポーズもキレキレで。

変身ポーズは好きなんです。いつも変身するたび「自分は仮面ライダーをやっているんだな」と実感できますから。テレビシリーズをずっとやっていたころはさすがに、何度も変身をしすぎてノイローゼっぽくなりましたけどね(笑)。数年ぶりに戻ってきたりすると、やっぱりうれしくて、ついつい気合いが入ります。

――大天空寺で修行をしているジャベルとタケルとのかけあいはコミカルに描かれていましたが、これまで生真面目なキャラだったジャベルがずいぶん御成(演:柳喬之)っぽくなっていて驚きました。

見た目がジャベルなだけで、中身は完全に御成と化していました(笑)。聡太郎さんと話していたんですけど、台本を読んだ瞬間に「これはジャベルじゃなくて御成だ」と思ったそうなんです。「タケル殿~~~!」なんて叫びながら、慌ただしく走ってくるじゃないですか。自分のことを「拙僧」と言ってたのも、今回が初めてですからね。聡太郎さんはアメリカにいる柳くんに電話をして、御成のしゃべり方を練習して役に臨んだって言ってました。ジャベルがタケルを呼び止めるシーン、後ろを向いて声だけ聞いていると、もう御成としか思えない。それくらい、聡太郎さんは御成に似せてきていました。何だろう、大天空寺に長いこといると、みんな御成みたいになってしまうんですかね(笑)。

――『スペクター×ブレイズ』のマコト役・山本涼介さんは、久々の再会をふりかえって「西銘はぜんぜん変わってなかった」とおっしゃっていました。

僕もそうですよ。お互い「ぜんぜん変わらないね~」なんて話していました。親戚の兄ちゃんとひさしぶりに会ったみたいな感覚です。1年半ずっと一緒の時間を過ごした仲間同士ですから、何年離れていても、会えばすぐ昔と変わらず話ができるんです。

――変わられたといえば、カノン役の工藤美桜さんは放送当時と比べても、すっかり大人っぽく美しい女性に成長されていましたね。

テレビシリーズのころ僕も17~18歳の高校生でしたけど、美桜ちゃんも16歳で、現役高校生だったんですよ。ずっと「テストどうしよう」とか「このシーンどう演じたらいいんだろう」って言っている印象がありました。今回だと、現場に入ってすぐ「あっ、変わったな!」と思いました。ひとりの立派な女優として、自信を持って現場にいるなって、雰囲気でわかったんです。感情のないコピーカノンと、優しさと強さを備えた人間のカノン、相反する役柄を繊細にこなしていて、頼もしくなったな……と思うと同時に、どこか寂しい気持ちにもなりました(笑)。以前は「かよわい少女」のイメージが強かったのに、今はバリバリ戦っているんですから。そのギャップは、僕にとってすごかった。『キラメイジャー』を頑張っていたのは知っていたので、その経験が自信につながっているんだと思いました。