――当初、眼魔の世界からやってきた「敵」としてのジャベルを、どのように演じようと思っていましたか。
第9話で初登場したとき、最初の打ち合わせでは「ジャベルは人間的な感情をあまり出さない感じでいきたい」と山口(恭平)監督から言われました。感情の部分は、物語の進行と合わせて徐々に出してくるようにしましょう、みたいな話になって。
――今回は慌てふためいたり、取り乱したり、ジャベルの感情が出まくりでしたね。生身の肉体となり、挫折を経験したジャベルは、御成の差し出した“おにぎり”に救われました。今回も、ジャベルの重要な小道具としておにぎりが効果的な使われ方をしましたね。たとえば、セイバーを援護しようと思って眼魂(アイコン)で変身するつもりが、手に握っていたのがおにぎりだったとか。
テレビシリーズのときから、僕の変身(眼魔スペリオル)は「変身」って言わないんです。でも、今回はどうしても「変身」の叫びを入れたかったんですよね。ここだけの話、僕は『ゲキレンジャー』でゲキチョッパーをやっていたときから「仮面ライダー」の変身に憧れていました。戦隊の変身は変身アイテムが大きかったり、動作もわりと派手めなんですけど、ライダーは抑え目な動きで「歩きながら静かに“変身……”」みたいなイメージを持っていて、一度はそういう変身をやってみたかったんです。そんな思いが、あのカットで僕に「変身!」と叫ばせたんです。
――叫びといえば、おにぎりで変身が不可能だとわかった直後、天空を見上げて「グンダリーーーーッ!」と叫び、グンダリを呼ぼうとしたが来ない……というギャグカットも楽しかったです。
放送当時はもっと落とした声で「グンダリッ!」と呼んでいたと思いますけど、放送後に行われたトークイベントで、リクエストにお応えして何度も叫ばせていただくうちに、あんな形で完成してしまったみたいですね。もうジャベルというキャラクターは、グンダリがあって今があると思いますから、グンダリは大切にしたいと思っています。当時、ネットでジャベルのことを「グンダリ無駄遣いおじさん」というすばらしいあだ名をつけてくださった方、今からでもいいですから「自分が最初にそう呼んだ」と名乗り出てくだされば、ひとことお礼が言いたいです。『仮面ライダーゴースト公式読本』(ホビージャパン)誌面で呼びかけていたんですが、いまだ御本人がアピールしてきてくれません。今でも待っていますので、よろしくお願いします。
――御成の役割を担うと同時に、ジャベルならではの個性的な行動もあって、『セイバー×ゴースト』のジャベルは実においしいキャラクターとなりました。
それはもう、ステキなホン(脚本)を書いてくださった福田(卓郎)さん、監督の坂本(浩一)さん、そして、配信をご覧になり、大いにリアクションしてくださったみなさまのおかげですね。
――エンドクレジットの後でジャベルがカノンにおにぎりを勧めるシーンがありますが、そこでのおにぎりの具が「明太子」と「ツナマヨネーズ」というのはちょっと意表を突かれました。あの具はどのようにして決まったのですか。
ジャベルは御成から与えられたおにぎりの味を鮮烈に記憶しつつ、おにぎりを自分なりに追求して、いろいろな具を試してみるようになったんでしょう。最初のテストのときには違う具だったのですが、何度かテストを重ねていくうち、あの2つの具が出てきたんです。ジャベルは丁寧ですから「お明太子とおツナマヨネーズ」って言っていて、いい味わいを出していたんじゃないかと思います。