東映特撮ファンクラブ(TTFC)にて配信されている『仮面ライダーセイバー』スピンオフ作品『仮面ライダーセイバー×ゴースト』(監督:坂本浩一)では、2015年に放送された『仮面ライダーゴースト』との夢のコラボが実現。セイバー/神山飛羽真(演:内藤秀一郎)とゴースト/天空寺タケル(演:西銘駿)がともに力を合わせて悪と戦う姿がクライマックスを飾った。
『仮面ライダーセイバー』『仮面ライダーゴースト』両作でメインライターを務めた脚本家・福田卓郎氏による今回の『セイバー×ゴースト』および続編の『仮面ライダースペクター×ブレイズ』(配信中)では、タケルのほか、仮面ライダースペクター/深海マコト(演:山本涼介)や彼の妹・カノン(演:工藤美桜)、そして大天空寺の僧侶を務めるジャベル(演:聡太郎)の“その後”の姿が描かれた。
今回は、『セイバー×ゴースト』の作品世界にコミカルな空気をもたらしたジャベル役・聡太郎に単独インタビューを敢行した。かつて「眼魔の世界」でアラン(演:磯村勇斗)の配下としてゴーストやスペクターと戦ったジャベルだが、大天空寺の住職代理・御成(演:柳喬之)に救われてからは、修行僧として“人の生きる道”を追求するストイックな男に生まれ変わった。
2017年のVシネマ『ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダースペクター』では、お調子者の御成以上に僧侶としての威厳や風格をたたえるようになったジャベル。そこからさらに年月が過ぎた『セイバー×ゴースト』では、いったいジャベルの身に何が起きたのか?と思えるほど衝撃的な変化が見られた。ひさびさに『ゴースト』世界へ帰ってきた聡太郎に、本作の撮影裏話や『ゴースト』で出会ったかけがえのない仲間たちの印象を尋ねた。
――『セイバー×ゴースト』のジャベルは、Vシネマ『ゴースト RE:BIRTH 仮面ライダースペクター』のころから比べてもずいぶん変わりましたね。
僕自身、驚きました。お話をいただいて、ジャベルとしてまた出演できると知り、うれしさを噛みしめながら台本を拝見したら、ジャベルのセリフがぜんぶ「御成」なんですよ。あれっ、御成がしゃべってるんじゃないの、と思って、果たしてこれを僕がやってもいいのかなって最初思いました。それで、今アメリカに住んでいる柳(喬之)に相談しようと思って、国際電話をかけたんです。ちゃんと日本とアメリカの時差を考えて、こちらが早朝のうちに。
――柳さんは、どんなリアクションをされましたか。
まず、めちゃくちゃ悔しがってましたね。ジャベルが御成をやるんかい!って。一方で、僕が出演することにすごく喜んで、応援してくれました。セリフに関しては明らかに御成のようなキャラクターが期待されているとわかるのですが、ジャベル寄りの御成なのか、御成寄りのジャベルなのか、さじ加減が難しい。そこで柳に「当時のセリフ、言ってみて」とお願いして、僕が同じセリフを反復して“御成っぽいジャベル”の練習をしました。Vシネマ『スペクター』から今回の『セイバー×ゴースト』までの描かれていない空白の時間を考えて、御成から強い影響を受けたジャベルというイメージで演じてみました。
――あのころの御成のように、頭を坊主にするという発想はありましたか? そして、ジャベルの特徴であるヒゲについてはどうでしたでしょう。
坊主のアイデアは、僕の頭の中で一瞬よぎりましたけど、それは結局ナシになりました。でも高橋(一浩)プロデューサーから「ヒゲ、生えてる?」って、ヒゲの確認だけはされましたね(笑)。お声がかかったときは、前の仕事のために頬のところまでヒゲだらけで、ワイルドな感じだったんです。このまま破戒僧っぽい感じで行きますか?と提案したのですが、結局ヒゲをキレイに整えてくださいと言われました。『烈車戦隊トッキュウジャー』(2014年)の第9駅にゲスト出演したとき、ヒゲのない役で「久しぶりの戦隊の現場だ!」と張り切って入ったのに、僕が聡太郎だって回りの誰からも気づかれなかったですからね。『獣拳戦隊ゲキレンジャー』(2007年)でゲキレッドのスーツアクターをされていたこともあるアクション監督の福沢(博文)さんからは「ゲストの聡太郎さんです」と紹介されて初めて「あっ、お前か! ヒゲどうしたんだ」なんて言われましたし(笑)。ジャベルもヒゲがトレードマークなので、ヒゲについてはかなり細かくチェックされました。
――大天空寺で修行を積むと、どうしても先輩である御成に似てくるのでしょうか。
どうなんでしょうか。Vシネマ『スペクター』のときは、まだ黙して語らずのカタい男でしたからね。大天空寺の袈裟を身にまとうと、みんな御成みたいなそそっかしい性格になっちゃうんでしょうか。ちなみにあの袈裟は、柳くんがテレビシリーズで実際に着ていた衣装なんです。
――これまでのジャベルはいかにも軍人らしい、低めの渋い声が印象的でした。しかし、いまお話をうかがっているときの聡太郎さんは、わりとライトな感じの話し方をされていますね。
軍人らしく太い声を無理して作ってしゃべっていました。普段の僕は『ゲキレンジャー』の久津ケン/ゲキチョッパーみたいな、軽めの声ですから。今でも、作らず自然にしゃべっているほうが楽ですね。ジャベルをやっているときは、周囲の方々から「役に入る前と後では、ぜんぜん声が違いますね」ってよく言われていました。