そんな中では、「コンビの危機」を感じた瞬間もあるという。井本が「解散というところまで行ったこともあります。8年目だっけ?」、すると藤原は「26歳とかやと思いますね。僕が言い出したんです」という。
藤原は「『これ、売れへんな』という感覚があって。生放送のMCもやらせていただいていましたし、仕事がそんなに悪い状況というわけでもなかったんですが、『なにかが違うな』と思った。そもそもやりたい仕事に就けていること自体、稀なことなんですが、若いからそういった感謝もできない。不満や焦りを感じていたんでしょうね」と振り返る。
井本は「ね、そんなこともあるので、楽しいだけで突っ走ったわけではないですよね」と笑いながら、「僕は芸人を辞めたいなと思ったことはないですが、『明日辞めてもしょうがないかな』という気持ちではいます」と続けるなど、2人で真剣なトークを展開。藤原は「あれ! このツアー、そんなに重くないですよ!」、井本も「観に来ていただく方には、ざっくり25年ということで!」と思わず大笑いだ。
ピンチを乗り越え、ここまで来られたのは「吉本興業にいたからこそ」と声を揃える。藤原は「会社に解散を切り出したときも、『ちょっと待ってくれ』と言ってくれた人がいました。そこで『オーケー』と言われたら、終わっていたかもしれない。それに吉本って劇場がいっぱいあるし、よその事務所だったとしたら、あまりネタの出番ももらえず、M-1ももっとあかんかったでしょうね。吉本に常設の劇場があるからこそ、25年続けてこられた。それが一番の礎になっていると思います」と感謝。
井本も「吉本興業には上にも尊敬できる芸人さんがたくさんいて、下からもどんどん素晴らしい芸人さんが出てくる。おととしぐらいに、社長が『みんなファミリーや』とおっしゃっていましたが、本当にその通りなんやろうなと思います。他の芸人さんに嫉妬したりすることもめちゃくちゃありますし、切磋琢磨をしたくなくとも、させてくれるのが吉本興業」と語り、「昨年の緊急事態宣言のあと、久しぶりに劇場に行ったら、みんなが楽屋でものすごくうれしそうにしているんです。めっちゃ明るい!そのとき、本当に芸人っていいもんだなと思いました」と目を細める。藤原も「刺激になりますよね」と同調し、「これまで全然売れなかった人がドカン!と売れたりすることもあるじゃないですか。そういうときは面白いなと思うし、うれしい反面、嫉妬もする。芸人っていいなと思う瞬間も多いです」と「カンフル剤のある環境」と話す。