夏木にとってのメンターは?と尋ねると、「義理の母です」と答えてくれた。夏木は、パーカッショニストの斉藤ノヴと2011年に結婚し、結婚10周年という節目で東京の乃木神社で式を挙げたことを今年5月4日にInstagramで報告している。

「義母は元気で明るくてポジティブな女性ですが、そういう気持ちを持っていると、長生きできるんだなと思います。先日、『あさイチ』に出演した時にも言いましたが『上見て働け、下見て暮らせ』とか、そういう名言を言うんです。素敵な先輩で、今は師と仰いでおります」

その言葉は、仕事面においては妥協を許さず、常に向上心を持っていることが望ましいが、生活するうえでは上を見るとキリがないという戒めの言葉だ。

「サヤカがモネに言う台詞にも『大人だって悩んでる』と言うシーンがありますが、本当にそうだなと。私なんてもしかしたら、若いモネや清原さんよりも悩んでるかもしれないし、年齢に関係なく、いつだってそういう師は見つかると思います」

また、夏木は『おかえりモネ』の魅力をこう語った。

「最初に“循環”のお話だなと思いました。雨が降って森から川に流れ、水が海に行って、海から太陽に上がり、また森に行く。モネも気仙沼から登米に行き、東京へ行って、きっとまた気仙沼に帰るのかなと思うと、今、改めてこのドラマと巡り合えてよかったなと思えました。コロナ禍では地球とのつきあい方を考えるようになりましたし、非常にいい時期に放送しているんじゃないかなと。現代劇の朝ドラは少ないですけれど、震災から10年ということで、この思いはつないでいかなきゃいけないと思っていますし、作品としてお届けするのはとても意義が大きいと思います」

■夏木マリ
(なつき・まり)5月2日生まれ、東京都出身の俳優で歌手。1973年に歌手デビュー。1980年代より演劇へも活動の幅を広げる。連続テレビ小説は『ひまわり』(96)、ヒロインを演じた『カーネーション』(11)に出演。主な映画出演作に『鬼龍院花子の生涯』(82)、『里見八犬伝』(83)、『男はつらいよ』(90)、『千と千尋の神隠し』(01)、『ピンポン』(02)、『さくらん』(07)、『パーマネント野ばら』(10)、『陽だまりの彼女』(13)、『モアナと伝説の海』(17)、『生きる街』(18)、『Vision』(18)、『大コメ騒動』(21)など。

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