つるの:ソデのところでお2人の歌を聴いていると、その勢いが伝わりました。デュエットですから、お2人とも同じくらいのパワーを出していないとバランスが保てなくなるんでしょうね。

堀江:片方だけが強くて、全体のバランスがくずれていてはいけないぞ、って責任がありますし(笑)。

ささき:お互い、それはあるね(笑)。

堀江:男女デュエットソングならではの良さも出したいですからね。

ささき:ミッチは大変なんだよ。僕だけじゃなくて、作品によっては水木(一郎)や串田(アキラ)とも合わせないといけない。みんな、パワーがある人たちばかりだからね(笑)。

――「進め!ゴレンジャー」の場合、ささきさんと堀江さんがゴレンジャーの名乗りよろしく腕を前に出す振り付けがすごく印象的なのですが、ああいった動きは事前に打ち合わせをされるのですか。

ささき:そんなことないですよ。いつかのライブのときにたまたま僕があんなポーズを取ったら、ミッチが合わせてくれただけ。

堀江:最初はそうでしたね。何度かやってるうちに、なんとなく定着していった感じ。打ち合わせなんてなかったです(笑)。

ささき:でも今日のライブでは、最初のところで僕がいつもの振りを忘れちゃってね(笑)。リハーサルのときは覚えていたんだけど。

堀江:私は、こうやると決めたことはやろうとするタイプなんです。いさおさんはどちらかというと、昔から自由でした(笑)。イントロが始まったとき、プレスリーみたいな振りをされるのがカッコいいんですよ。

――ささきさん、堀江さんが歌唱される挿入歌「全界合体!ゼンカイジャー」は、今年の8月で96歳となるアニメ・特撮音楽のレジェンド・渡辺宙明先生が作曲を手がけたことでも話題になっています。みなさん宙明先生の作られた楽曲で、思い出深いものはありますか?

つるの:今日、楽屋から移動するとき何気なく『宇宙刑事ギャバン』(1982年)の主題歌を口ずさんでいたんですけど、後になって「あれも宙明先生の曲だ!」と気づいたんです。知らず知らずのうちに、宙明サウンドが心の中に入っていたんでしょうね(笑)。

ささき:僕はやっぱり『ゴレンジャー』関連の歌が好きですね。先日、僕の芸能生活60年を記念したオンラインライブをやったのですが、宙明先生が観に来てくださって。初めて質問をさせていただいたんです。エンディング「秘密戦隊ゴレンジャー」の"バンバラバンバンバン"って、どこから来たんですかって。最初にもらった歌詞には書いていなかったから、ずっと不思議に思っていたんです。そうしたら先生は「曲が完成して日本コロムビアに持っていったら「もっと面白くしてほしい」と言われ、それじゃあスキャットを入れようと考えた」とおっしゃって。スキャットでも「ダバダバダ~」みたいにいろんな種類があるけれど、宙明先生が考えた結果、あのバンバラバンバンバンが出来たんだそうです。

つるの:『ゼンカイジャー』本編でも"バンバラバンバンバン"のフレーズが使われていますから、すごいなあって思います。ずっと残り続けたフレーズですね。

堀江:私が歌った宙明先生の曲では、火曜日に再放送をしていたころの『サザエさん』主題歌「サザエさんのうた」や『野球狂の詩』(1977年)のメインテーマ(スキャット)が好きですね。あと『グレートマジンガー』(1974年)の「ビューナスAの歌」もすごく印象に残っています。カッコいい歌からのどかな歌まで、宙明先生の世界は本当に幅が広いんです。

ささき:宙明先生は95歳の今でもあらゆる物事に対して興味を持っていて、いろんなテレビ番組をご覧になったり、時にはライブへ足を運ばれたり、エネルギッシュで驚かされます。今もなおいろいろな情報や知識を吸収して、蓄えられている。「頭の中から音楽が湧き出してくる」ともおっしゃっていましたし、まったく凄いですよ。

――宙明先生の最新作「全界合体!ジュラガオーン」をフルコーラス歌われたご感想をお願いします。

堀江:とてもパワフルで、歌いやすい曲でした!

ささき:宙明先生の頭に蓄えられたメロディーですから、しっかりとした流れができていて、歌いやすいんでしょうね。楽器で作った歌だと、時おり歌手のほうがついていけなくなるところがあったりします。歌うことを前提に作ったメロディーだと、そうはならないんです。