「最初は演技の仕事はやりたくなかったんです」。そう打ち明けるのは、10代女性から圧倒的な支持を受けている莉子(18)だ。ファッション誌『Popteen』の専属モデルとして活躍しながら、WEBドラマで演技にも挑戦し、2020年には『小説の神様 君としか描けない物語』で映画デビューを果たした。そして、4月22日にスタートするABEMAオリジナルドラマ『ブラックシンデレラ』(毎週木曜22:00~)では、主演として難しい題材にも挑戦する。人気・キャリアとも絶好調のティーンのカリスマは、自身の壁をどう乗り越え、どう演技と向き合っているのか。本人に話を聞いた。

ABEMAオリジナルドラマ『ブラックシンデレラ』で主演を務める莉子

昨年9月配信のYouTubeドラマ『DISTORTION GIRL』でドラマ初主演を経験した莉子。今回の『ブラックシンデレラ』は、それに続くドラマ主演となった。「主演は、全然感覚が違います」と、特に今回、主演という言葉の重みに押し潰れそうになったという。

「主役という言葉の重みがすごくて、早くクランクインして撮影の雰囲気を味わって慣れたかったです。特に今回、すべてが初めての経験といっても過言ではないくらい、私にとっては挑戦の作品でした。なので始まる前は不安でした。早く一歩踏み出したくて、クランクインするまで落ち着かなかったです」。

すべてが挑戦と語る本作で、莉子はミスコンへの夢を抱く女子高生・神谷愛波(かみや・まなは)を熱演。ド平凡女子を自称する愛波は、とあるきっかけでそのコンテストに出場するチャンスを手にするも、夢の舞台まであと一歩のところで悲劇に襲われてしまう。莉子は「“傷”というものにどう向き合うか、初めて本格的な役作りをしました」と、真剣な眼差しで語る。

そして、「彼女の“傷”に対する感情の揺れは、この作品ですごく大事だなと思いました。私はもう学校を卒業してしまったので、彼女と同じように普通に高校生活を送る知り合いに『もし愛波と同じ状況になったら、どういう気持ちになる?』とか、いろいろ質問して出てきたいろいろな意見を参考にしました」とリサーチを明かした。

「“本当の美しさ”とはいったい何なのか?」を問う難しいテーマの作品であり、莉子自身もモデルをしているだけに、「(愛波に起こる出来事に対し)想像もつかない出来事ってこういうことなんだな」と受け止めた。「“傷”は大きなテーマ。私だからこそ伝えられることがあるのでは」と、自身の職業を振り返る形で作品に向き合っている。

役作りの過程で自分自身に追い込みをかけてしまう仕事でもあるが、主演だから気づけたこと、成長できたこともあると言う。「これだけ大きな作品の主役をさせていただくことは初めてで、撮影期間もこれまでと比にならないくらい長かったです。追いつくことに必死で、毎日がこんなにあっという間に終わるのかと。演技で吸収することが多いからこそ、あっという間に感じるんですよね。本当に学びが多い現場だなと思います」と述懐する。

具体的な学びについては、「たとえば、感情を大事にすること。感情が入るからキャラクターが動くんです。セリフを覚えることに必死でしたが、そうではなく、愛波として生きることが大切なんです。撮影を重ねて愛波として生きるように努力を重ねたら、セリフを自分の言葉で話しているように言うことができるようになりました」と、目を輝かせながら教えてくれた。