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ドラマ制作を目指したのは「学生時代に映画の制作現場でお弁当を配ったりしていたんですけど、その時に見た、現場の真ん中にいる人たちが本当にかっこよくて。一歩外側から見ていたその輪に、入りたいなって思ったんです」。

さらに、「小学生のときに『やまとなでしこ』を見て、客室乗務員になりたいと思ったんです。だけど、当時太っていた私に、姉から『デブはなれないんだよ』と言われたのがショックで(笑)……でもその時、ここまで自分に何かになりたいと思わせてくれたドラマってすごいなと思ったんです。思えばそれが、ドラマという仕事に興味を持った最初のきっかけでした」と、話した。

こうしてフジテレビに入社すると、希望通りドラマ制作センター(現・第一制作部)に配属されたが、最初は体力面なども考慮され、希望していた演出部ではなくAP(アシスタントプロデューサー)業務を担当した。「だけど、『現場やりたいんです!』って上司に懇願して、それで演出部として初めて参加したのが『独身貴族』(13年)という作品でした。そしたらやっぱり現場ってものすごく楽しくて! 同じ日なんてなくて、みんなでひとつのものを作っているのが楽しかったんです」と充実の日々を送り、ついにその現場の中心である監督に。

そんな今作の見どころを聞くと、「この作品は、見方に正解がないと思っていて、サロガシーという出来事に対して、『そんなのあるんだ』と見る人もいれば、『そんなのありえない』と見る人もいると思います。それに、もしかしたらその当事者の方々も見るかもしれない。どの感情も、劇中の人たちと同じで、だからこそ登場人物たちがどのような想いを抱えてサロガシーと向き合っているのか、その感情と、移ろいに、注目してご覧頂ければと思います。その時に、自分と近い価値観の人物だけではなく、相手に寄り添うと、見方を180度変えるとどうなるのか、考えるきっかけにもなるといいなと思っています」とメッセージを呼びかけた。

●清矢明子
2013年、フジテレビジョン入社。ドラマ制作センター(現・第一制作部)に配属され、APを経験した後、演出補として『独身貴族』(13年)や、『モンテ・クリスト伯―華麗なる復讐―』(18年)、『ラジエーションハウス~放射線科の診断レポート~』(19年)などに携わる。フジテレビヤングシナリオ大賞は、脚本家だけでなく若手演出家の登竜門でもあり、今回の『サロガシー』が初演出となる。