3月4日に発表があった通り、3月18日よりRadeon RX 6700 XTが発売される。この3月18日というのは米国時間なので、日本では3月19日に発売になるらしい。秋葉原でも数店が夜間販売(深夜ではない模様)をするとか。そのRadeon RX 6700 XTの性能をご紹介したい。

  • Radeon RX 6700 XTを搭載したグラフィックスカード

    Radeon RX 6700 XTを搭載したグラフィックスカード

スペック及びテスト環境

Radeon RX 6700 XTの構成などは概ね前回の記事で紹介しているが、幾つか触れていなかった話があるので、まずは補足など。Radeon RX 6700 XT搭載のNavi 22であるが、ダイサイズは366平方mm、トランジスタ数は172億個と説明された(Photo01)。思ったほど小さくならなかった理由の一端はInfinityCacheが96MBあることに起因するのだろうが、そのInfinityCacheの効果がこちら(Photo02)。256bit幅のGDDR6と同じ消費電力枠で、2.5倍の帯域を確保できたとする。

  • Photo01: Navi 21が519平方mmだから、ダイサイズを概ね2/3にした格好。意外に減らなかったというか、予想より少し大きかった気がする。

  • Photo02: 後で出てくるが、Radeon RX 6700 XTのGDDR6は16Gbpsであった。

もう一つはRadeon Boostの話。DX12でもAdaptive VRSを使ってRadeon Boostが利用できるという話を紹介したが、その性能向上例が示された(Photo03)。

  • Photo03: もっとも相変わらずコントローラからのユーザーの入力があった時だけのBoostになるので、今回利用したベンチマークでは(いくつか試したものの)一切性能向上は見られなかった。

さてでは機材の紹介など。パッケージはRadeon RX 6800を彷彿させるもの(Photo04)。内蓋を取るとカードが鎮座している(Photo05)。カード本体はRadeon RX 6800よりちょっと小ぶり、という感じに収まっている。裏面はすっきりフルカバードになって、他の部品をひっかける心配がさらに減った(Photo07)。ディスプレイ出力はDisplayPort×3とHDMI×1(Photo08)、反対面はのっぺりしたものになった(Photo09)。補助電源は8pin+6pin構成(Photo10)、底面からの光景はかなりRadeon RX 6800に近い(Photo11)。

  • Photo04: Radeon RX 6800 XTの無駄に凝ったパッケージに比べると質素だが、この位で十分だと思う。

  • Photo05: デュアルファンなので、Radeon RX 6800/6900系とはまた違った趣がある。

  • Photo06: 寸法は長さ265mm×高さ95mm×厚み40mm、重量は894.7g(いずれも実測値)。

  • Photo07: Radeon RX 6800系の様にGPUの真裏が空けられる事もなくなった。リテンションの方式の違いもあるのだろう。

  • Photo08: カードエッジ部のパネルからは排熱しない構造は相変わらず。このあたりはOEMメーカーではまた変わってくるのだろうが。

  • Photo09: カード全体が小型化した&軽量化もあってか、こちらにはブラケット取付穴が無い。まぁ要らないという判断なのだろう。

  • Photo10: 厚みそのものはRadeon RX 6800と同等。

  • Photo11: ただ長さそのものは短くなっているので、コンパクトに収まった感が強い。

GPU-Zでの表示はこんな感じ(Photo12)。ちなみにPower Limit(Photo13)をみると、最大で+15%となっている。Radeon RX 6700 XTの定格TBP(Total Board Power)は230Wとされているので、最大で264.5Wというところだろうか。

  • Photo12: Memory Clockは2000MHzなので、GDDR6 16Gbps構成と判る。

  • Photo13: 実効消費電力がどのくらいか、は興味あるところ。

さて、テスト環境は表1の通りである。このプレゼンにもある様に、AMDはRadeon RX 6700 XTをGeForce RTX 3060 Ti及びGeForce RTX 3070の対抗馬と位置付けているようなので、こちらとの対決とさせていただいた。で、ついこの前GeForce RTX 3060のテストの際にGeForce RTX 3060 Tiのベンチマークを行ったばかりなので、GeForce RTX 3060 Tiの数値の殆どはこちらから流用させてもらう事にした(いくつか追加テストは行っている)。なので、ベンチマークのQualityなどもこれに揃えた格好で、新たにGeForce RTX 3070及びRadeon RX 6700 XTを追加したという形になる。ただ前回はDLSSはいくつか試したものの、Ray Tracingは行っていない。が、今回はメインストリームもやや上の方のグレードになるので、Ray Tracingを有効にした場合も同時に測定した。なおNVIDIAの2枚については、Ray Tracing有効時には(可能ならば)DLSSも有効にしている。

■表1
CPU Ryzen 9 5800X
Motherboard ASRock X570 Pro4
BIOS Version 3.90
Memory CFD W4U3200CM-16G×2
DDR4-3200 CL22
Video NVIDIA GeForce RTX 3060Ti Founder Edition
NVIDIA GeForce RTX 3070 Founder Edition
AMD Radeon RX 6700 XT Reference
Driver GeForce Driver 461.40 DCH WHQL AMD Adrenalin Software 20.50 DCH
Storage Seagate FireCuda 520 512GB(M.2/PCIe 4.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 20H2 Build 19042.804

グラフ中の表記は

  • RTX 3060Ti:NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founder Edition
  • RTX 3070 :NVIDIA GeForce RTX 3060 Ti Founder Edition
  • RX 6700 XT:AMD Radeon RX 6700 XT Reference

となる。解像度表記は何時もの通り

  • 2K:1920×1080pixel
  • 2.5K:2560×1440pixel
  • 3K:3200×1800pixel
  • 4K:3840×2160pixel

とさせていただく。

◆3DMark v2.17.7173(グラフ1~4)

3DMark v2.17.7173
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

  • グラフ1

まずは定番の3DMarkを。結果を見て頂くと判る通り、Overallでは今一つといったところ(グラフ1)。ただ良く見ると、FireStrikeまでの負荷の軽いベンチではGeForce RTX 3060 Tiにも負けている感じなのが、TimeSpyでほぼ同等、Time Spy ExtremeやPortRoyalなどの負荷が高いベンチマークでは、GeForce RTX 3070には及ばないものの、GeForce RTX 3060 Tiは超えているのが判る。

  • グラフ2

  • グラフ3

  • グラフ4

これはもっぱらGraphics Score(グラフ2)がこの傾向だから、という話であってCPU Score(グラフ3)は全く差がないし、Combined Score(グラフ4)もほぼグラフ1/2に近い(なぜかFireStrikeのスコアが高いが)。3DMarkの結果だけ見ると、Radeon RX 6700 XTの性能はGeForce RTX 3060 Tiの前後、ということになる。

◆SuperPosition v1.1(グラフ5~11)

SuperPosition v1.1
Unigine
https://benchmark.unigine.com/superposition

次いでSuperPosition。前回同様

  • Shader Quality:Medium
  • Texture Quality:Medium
  • Depth of Field/Motion Blur:On

での実施である。

  • グラフ5

  • グラフ6

  • グラフ7

平均/最大/最小フレームレート(グラフ5~7)を見る限り、3DMark同様に「Radeon RX 6700 XTの性能はGeForce RTX 3060 Tiの前後」ということになる。平均フレームレートだけで見れば

GeForce RTX 3060 Ti ≦ Radeon RX 6700 XT < GeForce RTX 3070

といったあたりであろうか。

  • グラフ8

  • グラフ9

  • グラフ10

  • グラフ11

フレームレート変動(グラフ8~11)を見ても、Radeon RX 6700 XTはGeForce RTX 3060 Tiと絡んでいる感じで、GeForce RTX 3070はかなり遠いと言わざるを得ない。