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――東日本大震災のほか、1月の放送では「感染症」がテーマの回もありましたし、まさに“今”の時代を描くことを意識されている印象があります。感染症の回は、原作にあったエピソードだったのですか?

あれは完全にオリジナルです。コロナがこんなに大きな問題になる前から準備していたので、感染症というのは1つのネタとして軽い気持ちで考えていたんですが、ここまで身近に感じるような脅威になってしまったので、きちんと描こうとなりました。

私も含めて、やっぱり感染されていない方には、どこか「自分は大丈夫だ」という気持ちがあると思うんです。それは、人間として不思議のない心理状態だと思うんですが、そうなったときに、コロナに関するいろんなニュースがある一方で、私たちもフィクションではありますが、身近に感じていただいているドラマのキャラクターが「感染したかもしれない」と恐怖にさらされることを描いたほうが、よりリアルになるのではと考えました。

ただ、新型コロナウイルスについては不確かなことも多いですし、科学的に中途半端なことは言えないので、無駄に恐怖をあおってしまうおそれがあるので、感染症としてある程度研究が確立されて、かつ身近に感じられるというところで、狂犬病を取り上げさせていただきました。

――今の時代を描くということで言うと、平さんの認知症をめぐる家族の向き合い方も描かれています。

監修の先生から「忘れてしまったらものすごくつらい不幸が待っていることではなくて、そのご家族が悲観するようにはしないでほしい」と言われていたんです。記憶がなくても感情は残るので、何か嫌なことを言われると理由が分からなくて怒りっぽくなったりすることがあるそうなんですね。だから、認知症を受け入れるときもあまりドラマチックにならないように心がけました。

■キャストとスタッフが家族のようなチームに

――第1シーズンで全11話に特別編、そして第2シリーズに新春SPと、相当長い期間のチームになりましたよね。

みんなすごい個人情報を知ってるんですよ(笑)。どこに住んでて、それぞれの家族が何をしてるのかとか、そういうところまですごくお互いに分かってるチームなんです。

――会見のとき、上野さんから出演者の個人情報がどんどん飛び出しました(笑)

スタッフのことも本当によく知ってるんですよ(笑)。だから、キャストとスタッフが本当に大きな1つの家族のような感じで、気軽にしゃべれて、時には真剣に作品に向き合うからケンカのように言い合うこともあって。本当に夢のような大きな文化祭をやらせていただいたような感じです。このご時世だと打ち上げもできないので、また同じチームで集まれたらうれしいなと思います。

  • 撮影現場の様子

●金城綾香
1987年生まれ、兵庫県出身。12年フジテレビジョンに入社し、『監察医 朝顔』のほか、『5→9~私に恋したお坊さん~』『営業部長 吉良奈津子』『グッド・ドクター』『犬神家の一族』『悪魔の手毬唄』など手がける。