21歳ながら芸歴約10年、数々のドラマや映画で存在感を放っている女優の久保田紗友。『べっぴんさん』(NHK総合ほか)や『過保護のカホコ』(日本テレビ系)などで注目を集め、『M 愛すべき人がいて』(テレビ朝日系)では悪役ポジションを見事に演じ、演技力に称賛の声が上がった。現在放送中の『オー! マイ・ボス! 恋は別冊で』(TBS系 毎週火曜22:00~)では、上白石萌音演じる主人公の良きライバルを好演中。そして、実写版『ホリミヤ』(MBS・TBS)では、W主演の1人・堀京子役を務め、甘酸っぱい青春の日々を表現している。話題作への出演が続く久保田にインタビューし、女優としての転機や『ホリミヤ』の撮影裏話など、話を聞いた。

  • 久保田紗友 撮影:蔦野裕

シリーズ累計600万部を突破した人気漫画『ホリミヤ』を実写化した本作は、いつもひとりぼっちのネクラな男子・宮村伊澄(鈴鹿央士)と、優等生で明るい人気者の女子・堀京子(久保田)が、学校では見せることのないもう1つの姿をお互いに知ることで距離が縮まっていく青春物語。

久保田は「堀は自分の気持ちと裏腹なことを表面に出してしまう不器用な部分があり、そういったところは私自身と似ている」と共通点を明かし、「それでも堀はクラスの人気者で、自分ではキラキラしているつもりはないのに傍から見るとキラキラ見える存在。それをどう表現するかすごく悩みましたが、最終的には、誰とでも分け隔てなく明るく振る舞って生活しているんだなというところに行きつきました」と苦労したポイントを説明した。

役をつかめたきっかけを尋ねると、「撮影の序盤に学校のシーンが多く、宮村やほかのキャラクターと関わっていく中で徐々につかめた感じです。自分が堀に近づくのではなく、自分自身のままでいいんだと自分が受け入れ始めた段階で堀に近づけた気がしました」と答え、「それまでは、役を作ろう作ろうとしていた部分がありましたが、ありのままの自分をそのまま出せばいいのではないかと思った瞬間から楽になりました」と補足した。

ありのままの自分を出すことは、どの役でも大切なことだと、本作で気づけたという。「自分が演じる意味を考えたときに、自分の良さを出さないと意味がないなと、今回はっきり感じました。いきなり見た目が変わるとか、声が変わるということはなく、自分は自分。これからも自分らしさを大切にして役と向き合い、自分が演じるからこその良さが出せたら」と語った。

さらに、「日常生活の自分は他人のほうが知っている。他人が知っている久保田紗友の部分が堀さんとして表情に出ていて、自分ってこういう顔をするんだなと、新しい自分の表情を発見できた気がします」と話し、「ありのままの自分がにじみ出るものなんだなと。いい意味で作るのを諦めたのかもしれないです」と笑った。

役との向き合い方が本作をきっかけに変わったという久保田。「年下の方が多かったこともあり、自分がより一層現場を引っ張っていかなきゃいけないなという意識が芽生え、それも今回が初めてでした」と、本作は学ぶべきものが多かったようだ。