• 病床の廣中さん(右) (C)フジテレビ

密着取材の様子が放送されると、視聴者からの「応援してるから頑張って」といった反響が子供たちにも届いていたそうで、「そういう声を聞くと、子供たちがすごく励まされるみたいで、照れながらうれしそうな顔をしていたように記憶しています」。

廣中さんも「『ちゃんと子供の成長を追いかけてくれてありがとう』と、すごく褒めてくださることが多かったです」といい、「放送を見て、お寺や廣中さんの講演会に来る方もすごく多かったそうです」と、番組が活動の後押しになっていた。

放送後、10~20代の若者たちに番組の感想を聞いてみると、「新鮮に感じた」という声に加え、「うらやましい」という感想が多かったという。

「今の子供たちは、リアルの世界とSNSの世界のパラレルワールドみたいな感じで生きているようで、空気が読めない行動をしたりすると、SNSの世界で仲間から省かれたり、悪口を言われたりするそうなんです。それで、リアルな世界では波風を立てずに生きることが大事だと思っているので、本音でぶつかり合うお寺の子供たちを見て、『うらやましい』と感じたみたいです」と、その背景を明かした。

■数々の受賞は熱血和尚からの「プレゼント」

残念ながら、廣中さんは昨年4月に死去。その後、様々な賞を受賞したが、「廣中さんが今もいてくれて、番組を皆さんに褒めていただいているのを見てほしかった…というのが一番思うことですね。きっと、廣中さんさんがくれたプレゼントなんじゃないかなと思います」と思いを話す八木D。

コロナの影響で、子供の自殺が大幅に増加したというニュースも流れているが、「どこかで同じように苦しんでいる子が、もっとたくさんいるんじゃないか。自分1人で悩んで、苦しんで、自殺ということを選択してしまう子がいるんじゃないか。廣中さんと子供たちの姿が、そういう子たちに届けばいいなと思うので、今回再び放送させていただくことは、ものすごく意義のあることだと思うんです」と力説し、「周りの大人たちにも、子供との関わり方の気づきのきっかけになれば」と願いを語っている。

  • 八木里美D=ATP賞受賞式にて (C)フジテレビ

●八木里美
1977年生まれ、東京都出身。学習院大学卒業後、青森朝日放送でニュースキャスター・記者・ディレクターとして取材現場に従事し、テレビ朝日『スーパーJチャンネル』を経て、04年にバンエイト入社。フジテレビ報道局で『スーパーニュース』を担当し、11年からは制作部でドキュメンタリー番組などを制作。『ザ・ノンフィクション』では、『“熱血和尚”シリーズ』のほか、『愛はみえる~全盲夫婦の“たからもの”~』『わ・す・れ・な・い 明日に向かって~運命の少年』『私、生きてもいいですか ~心臓移植を待つ夫婦の1000日~』などを担当。現在はほかにも、『フューチャーランナーズ~17の未来~』で総合演出を務める。