• 八木里美ディレクター

番組を見ていて驚かされるのは、廣中さんが子供の異変をいち早く見抜くこと。歯みがきの表情や、歩き方など、日常のささいな変化から察知し、子供たちだけでなく、家族の抱える問題までお見通しなのだ。ある子供からは「神様みたい」という言葉も聞かれた。

これには、八木Dも「全部見抜かれているので、本当に不思議ですよね」と驚きつつ、「ご自身もかつてはお父さんとの関係性で悩んだり、反発心があって相当悪かったみたいで、高校の先生に支えられて何とかまともな人間になることができたというすごい青春時代を過ごされてきた中で、人の感情の機微に敏感になったのではないでしょうか」と推測。

そして、異変を感じた子には「頑張ろう」と必ず声をかけたり、握手したりするのだそうで、「そうすることで、子供たちがすごく安心しているように見えました」という。

さらに、「子供たちに『ありがとう』って、1日に何回も言うんです。『ゴミ出ししてくれてありがとう』『洗濯物をやってくれてありがとう』。すると、子供たちも自分が役に立ってたんだって少しうれしい表情になる。廣中さんの姿を見ていると、親が家庭でどうあるべきかというヒントがすごく散りばめられているような気がしました」と、一見豪快な性格に見えながら、実に繊細に子供たちを気づかっていたそうだ。

■“温かい食事”を囲む大切さ

番組の中でよく出てくるのは、みんなで食卓を囲むシーン。これも、子供たちの成長に非常に重要な要素で、「おなかを満たしてあげると、不思議と心も満たされるということがあるんですよね。寺に来る前は、毎日冷たいお弁当やコンビニで買ったものを1人で食べていたという子がすごく多いので、温かいご飯をおなかいっぱい食べられるという環境は、第一に考えられていました」とのこと。

その上で、「夕食の時間は必ずみんなでご飯を食べるという決まりで、門限もそれに合わせていました。一緒にご飯を食べることがいかに大事かということも、廣中さんはよくおっしゃっていました」と、子供たち同士のコミュニケーションを重視していたそうだ。