日本ボクシング連盟前会長・山根明(81)――2018年夏、ボクシング関係者300人以上から「助成金の不正流用」や「審判不正」の告発を受け、その独特のキャラクターから、世間の猛バッシングを浴び、一躍有名となった人物だ。
本人は「助成金の不正流用」以外の全ての疑惑を否定したが、20代の頃からの暴力団関係者との付き合いについて、選手を育成する立場としての責任をとり、会長職を辞任。その後、テレビのバラエティ番組で活躍する時期もあったが、あの騒動から2年が経った彼と、28歳年下の妻・智巳(ともみ)さんを、フジテレビのドキュメンタリー番組『ザ・ノンフィクション』(毎週日曜14:00~ ※関東ローカル)が密着した。
『たたかれても たたかれても… ~山根明と妻のその後~』と題して8日に放送される今回の番組。密着した岩元裕子ディレクター(ラダック)は、実際に山根氏夫妻と接し、それまでと大きく印象が変わったという。2人から感じたお互いへの愛情とは――。
■ワイドショーのイメージ「全くない」
コワモテの風貌に迫力ある声で、一見近づき難い山根氏。岩元Dも、知り合いのつながりで会うことになったとき、「多くの人と同じで、2年前の騒動のときに報道陣に囲まれているイメージしかありませんでした」という。
だが、「その情報だけでお会いするのはどうかな…と思い、本人が書かれた自叙伝(『男 山根 「無冠の帝王」半生記』)を読んだんです。そしたら、戦後、幼少期に韓国へ渡っていじめられ、日本に帰って、ボクサーになったら病気をされて……と本当に壮絶な人生、でもその困難の全てに向き合うまっすぐな生き様に感動して、純粋に『この人に会いたい!』と思うようになりました」と、印象が変化。
そして、実際に会ってみると、「ワイドショーで報じられたイメージは全くなくて、すごく礼儀正しい方でした。42歳も年下の私のような人間に対しても、他の人とあまり態度が変わらないんです。芸能人の方でも10人くらいスタッフがいて(周囲が)話しかけにくい雰囲気を発していることがありますが、本人と話すと誰より謙虚で真面目だったりするんです。新人時代、取材させていただいた作曲家の平尾昌晃さん(故人)や、歌手のペギー葉山さん(故人)のような温かい人柄の方々を、山根さんと会って思い出しました」と振り返る。
■“人への興味が尽きない”バイタリティ
取材を進めると、「あのお年になっても“人への興味が尽きない”というのがすごいと思いました。私の祖父を思い返しても、80代の男性ってそこまで積極的に人に会うことはしないじゃないですか。でも、山根さんは、いつも誰かに興味を持っているんです。その情熱があるから、今回番組のキーマンとなるボクサーの高橋知哉さんと出会い、新団体の立ち上げにまで至ったんだと思います」と、そのバイタリティを実感。
その上、「山根さんが、1日4時間しか寝ないんです。朝方4時に寝て朝8時に起きて、騒動のときにお世話になった喫茶店を3軒回るのが日課になっているんですよ。持病を持ちながらも、背筋をシャンとして毎日生きていらっしゃる精神力がすごい人だなと思いました。山根さんを取材しながら、私の方がヘロヘロでしたから(笑)」と驚かされたそうだ。
さらに、間近で見て“男・山根明”の魅力を実感。「今回の番組には出てこないのですが、週刊誌の記者の方が『2年前はすごく怒鳴られたんだけど、その中に一種の愛情みたいなものを感じる』と言っていたんです。今では家族ぐるみで飲み仲間になっているそうで、そこに男としての“器の広さ”があるんですよね。騒動のときは、あんなにメディアに追い回されたのに、結局バラエティに出て慕われてますし、やっぱり引き寄せる人なんだと思います」。