なぜTouch IDが搭載されなかったのだろう

1年前には全く想像していなかった事態により、iPhone X以降の利点であったFace IDが逆に弱点になってしまいました。マスクを着用しているとロック解除ができない問題です。

iPhone 12シリーズに先駆けてiPad Air(第4世代)が発表された際、トップボタンに搭載されたTouch IDを見て、もしやiPhoneにも…? という期待が生まれましたが、残念ながらそれは実現しませんでした。外で使うことの多いiPhoneの方にこそ搭載して欲しいところですが、フロントのTrueDepthカメラをやめるわけにいかず…というコスト的な問題もあるかもしれません。

  • iPad Air(第4世代)では、トップボタンにTouch IDを搭載。ただしフロントはFaceTime HDカメラで、ポートレートモードやアニ文字などは非対応

それと、気になるのが地味に推されているMagSafe対応です。USB-Cになる前のMacBookシリーズを思い出す方も多いでしょう。あれは便利でしたね。新しいiPhone向けのMagSafeもそれと同様に、正しく接続しやすいのが利点。またワイヤレス充電の難点だった「持ち上げて使うと充電できない」問題が解消されました。ケーブルを持ち上げてもiPhoneが落下しない程度に吸着するので、簡易的な三脚やビデオ会議用のホルダーなどに使えると便利そうです。

  • 正しく接続するとリングを表示。持ち上げても落ちません。AirPods Pro/AirPods(第2世代)も充電可能ですが、Apple Watchは非対応

しかし、逆にしっかりくっつくせいで外す際は片手で充電器側を押さえる必要があり、有線充電とあまり使用感が変わりません。また、これがデスクの上にあると微妙にやり場に困ります。Appleにしてはいまいちスタイリッシュさに欠け、今のところ積極的に使う理由はないのですが、もしかして以前から度々ウワサされているiPhoneからアクセサリへ、またはiPhone同士の充電を実現する布石となっているのか、気になるところです。

iPhone 12 Proは誰のためのモデルか

iPhone 12 Proは、多くのiPhoneユーザーの乗り換え先として文句のないスペックと質感を備えたプレミアムなモデルと言えるでしょう。ただし、急がずに見極めた方がいいと思われるポイントが2つあります。

1つは、重さとサイズ感です。特に現iPhone 7/8シリーズのユーザーや、手の小さい方にとっては、多少負担が感じられるかもしれません。期待の声が高い小さめモデル、iPhone 12 miniを確かめてから決めても遅くないと思います。

もう1つは、本気で写真や動画の撮影に使いたい場合です。すでに十分なカメラ性能を持つiPhone 12 Proですが、クオリティを最優先するならiPhone 12 Pro Maxと比較したいところです。広角カメラのセンサーが大型化し、手ぶれ補正がセンサーシフト式に。また望遠カメラの焦点距離が65mmになり(Proは52mm)、より多彩な撮影への対応が期待できます。

以前と違ってiPhoneは幅広いラインアップを持つ製品群となり、何をするか、どう使うかも人それぞれ大きく異なる状況になっています。そんな中でiPhone 12 Proは「全部入りで」「コスパ重視で」と簡単に選べるポジションではありません。何がしたいか目的を明確に持ち、機能・スペックを見極めて選ぶことができる人のためのモデルと言えるのではないでしょうか。