2020年のiPhoneの新モデルは、世界的なパンデミックの影響もあり変則的な日程で発売されることになりました。祭り的な盛り上がりはいつもより控えめだったものの、久しぶりにデザインに変化があり、次世代通信規格5Gに対応するなど、見所はそれなりにそろっています。今回はiPhone 12 Proを1週間ほど使用してみたレビューをお届けします。
スタイリッシュで所有欲に訴える高級感
iPhone 12シリーズは、久しぶりにフラットなエッジのスッキリデザインになりました。iPhone 5sやSE(第1世代)以来、一部で根強い支持があったので歓迎する声も多かったようです。
ただし、素材や構造は以前とはだいぶ異なります。見た目のスタイリッシュな印象からすると、持った時に意外な重さを感じるかもしれません。iPhone 12とは本体サイズも全く同じ6.1インチの双子モデルですが、素材やカメラの違いによってiPhone 12 Proの方が25gほど重くなっています。
側面の質感や背面ガラスの仕上げも、iPhone 12よりワンランク上の高級感。美しくスタイリッシュな姿を見せつけて所有欲へ訴えてくるような佇まいです。毎日欠かさず手に触れるアイテムですから、性能云々以前にモノとして気に入って使い続けられるかどうかは大きなポイント。その点で、人目を魅了するのは間違いないでしょう。
注目の5G対応、ミリ波非対応も課題は環境にあり
今年の注目ポイントは、なんと言ってもiPhone初の5G通信対応モデルであるということ。すでに他社製品は5G対応モデルが出そろう中、出遅れ感は否めませんが、それより出遅れているのは現実の通信環境の方でした。テストで使用したauのエリアマップによると、都内の一部で使える…というより、場所によっては5Gでつながるポイントがある、と言ったほうが近いでしょう。
ミリ波対応モデルは米国のみ、それ以外はSub-6という仕様には落胆の声もありましたが、現実的に日本国内では対応エリアも、サービス/コンテンツも整っていない状態です。ミリ波ほどは通信速度の出ないSub-6ではありますが、現状ミリ波必須のサービスはありませんし、一般向けでそこまでクリティカルなサービスも思い当たりません(強いていうならeSports)。Sub-6でもつながればさすがに速いので、通信各社には5G接続エリアの拡大を急いでほしいところです。むしろ自宅に欲しいです。
現時点で提供されている4K動画配信サービスや、業務上必要なファイルのやり取りであれば、Sub-6で十分に対応可能でしょう。ミリ波はより高速・低遅延・多接続な通信ができる5Gの"真打ち"ですが、接続環境がよりシビアに求められるため、当面は屋内や施設内など限定された環境・用途での活用が現実的と言えそうです。