◆消費電力(グラフ86~90)
前回同様、FireStrike Demo(グラフ86)、F1 2020(グラフ87)、Metro Exodus(グラフ88)、Shadow of the Tomb Raider(グラフ89)の4つ(Metro ExodusとShadow of the Tomb RaiderはRT On/Off両方)の実行時の消費電力変動を取ってみた。
一目して明確なのは、GeForce RTX 3070の消費電力の低さである。実際、GeForce RTX 2080 TiどころかGeForce RTX 2080 Superよりも低いシーンがしばしばあるという、非常に性能/消費電力比の良い結果であることが窺い知れる。なにしろFireStrike Demoで350W行かないのだ。GeForce RTX 3080比で150W、3090比だと180W以上消費電力が少ない事になる(こう見るとGeForce RTX 3070が普通であって、3080/3090が電力食いとも言えるが)。
グラフ90に平均値をまとめてみたが、GeForce RTX 3070の消費電力はRadeon RX 5700 XTとほぼ同程度。今回の6製品の中ではもっとも消費電力が少ないグループに含まれているのは、性能を考えると驚異的ですらある。
考察
ということで駆け足でGeForce RTX 3070の性能をご紹介してきた。さすがにNVIDIAのいう"Faster than 2080 Ti"はちょっと言い過ぎてしまったかと思う。平均的に言えば、"GeForce RTX 2080 Tiにちょっとだけ劣る程度"の性能と言うのが妥当だろう。
ただGeForce RTX 2080 Tiの価格は原稿執筆時点で、安くても16万円台である。別に日本だけが高い訳ではなく、試しにNeweggで調べてみたら一番安かったのがEVGAの$1139.99だった(リファビッシュ品には$999.99というのもあったが、これはまた別だろう)。これが定価$499。日本での発売価格もFounders Editionで79,980円というのは、要するに現在のGeForce RTX 2080 Tiの半額である。
GeForce RTX 3080クラスの性能を求めるのは無茶だが、GeForce RTX 2080 Tiの性能が欲しいというユーザーには、実に手頃な製品構成だと言える。恐らくこれの発売にあわせて、GeForce RTX 2080 Tiも値崩れするとは思うが、だからといって半額にはならないだろう。もはやGeForce RTX 2080 Tiの優っている点はメモリ容量(11GB)だけといっても過言ではない。既にGeForce RTX 2080 Tiを手にしているユーザーがあえてRTX 3070に買い替える必要はないと思うが、現在GeForce GTX 1600シリーズとかRTX 2060あたりを使っているユーザーには、実に好ましいアップグレードパスになる筈だ。