GeForce RTX 3080GeForce RTX 3090に続き、GeForce RTX 3070も出荷が開始されることになった。こちらは同じSamsungの8nmプロセスを使う製品ながら、ダイそのものも小型化され、メモリも通常のGDDR6になっており、その分消費電力と価格が抑えられているモデル。9月1日の発表では、GeForce RTX 2080 Tiよりも高速で、8GBのメモリを搭載して$499と説明されていた。そんな訳で、今回は主にGeForce RTX 2080 Tiと比較して本当に「より高速と言えるのか」を主に確認してみたいと思う。

パッケージはGeForce RTX 3080 Founder Editionによく似ているが、一回り小さい感じ(Photo01,02)。デザインモチーフ的にはGeForce RTX 3080とよく似ているが、こうしてみると2つのファンの間隔がかなり狭いので、ちょっと寸詰まりな印象を受ける(Photo03,04)。裏側のファンは廃されたが、裏面側に排気を行う構造そのものは同じである(Photo05,06)。

  • GeForce RTX 3070を試す - 出揃ったRTX 30シリーズの本命、実力徹底レビュー

    Photo01: 黒とシルバーの、割と落ち着いたパッケージ。

  • Photo02: GeForce RTX 3070が斜めに鎮座しているのは同じく。

  • Photo03: 斜めのヒートシンクを模した構成は同じく。

  • Photo04: 上下逆にすると安定して立つ。

  • Photo05: 裏面にファンを置くと、必然的にカードサイズが長くなってしまう事を避けたかったように思う。

  • Photo06: 縦型ケースに設置した場合、このロゴが奥に見える感じになる。

出力はDisplayPort×3+HDMI×1でこれはGeForce RTX 3080 Founder Editionと同じく。反対側にはブラケット取付用の穴が開いているのも同じである。補助電源は、やはり独自の12pinが用意されている(Photo09)。

ちなみに外寸であるが、このアングル(Photo10)から見ると判る様に、カードブラケットより5mmほど背が高く、またカードブラケットの下(つまりカードの裏板部)も若干出っ張っているのが判る。とはいえ、この程度はみ出すカードは昨今は珍しくない。余程ゆとりが無いケース、もしくは拡張カードを全スロット利用とかいうケースでもなければ余り問題にはならないだろう。ちなみに裏面排気部の反対側に照明を置いて、透かして見るとこんな感じである(Photo11)。

  • Photo07: 排気口のメッシュは一般的なものになった。このアングルで見ると、ほぼ2スロットサイズの厚みなのが判る。

  • Photo08: ただこのサイズだと、ブラケットを取り付ける意味はあまりなさそうな気もする。

  • Photo09: 一応こちら側は全ピンが利用可能になっている。

  • Photo10: なお外寸は240mm×97mm×38mm、重量は1032.2g(いずれも実測値)だった。

  • Photo11: ヒートパイプは2本(上下)に通っている様に見える。真ん中のものは配線だろうか?

ところで補助電源であるが、GeForce RTX 3070 Founder EditionのTGP(Total Graphics Power)は220Wとされる。それもあってコネクタそのものは12pinの独自のものだが、これに接続されるのは8pin×1になっている(Photo12~14)。

  • Photo12: 二股分岐でなくなり、すっきりした。

  • Photo13: 接続するのは8pinケーブル。

  • Photo14: カードに刺さる方は6pinのみ用意されているのが判る。

GPU-Zでは問題なくGA104と認識された(Photo15)。それはともかく、ちょっとBIOSの設定を見てみるとPower Limitは109.1%となっており、最大で240Wほどを消費することになる(Photo16)。また温度範囲は定格83℃、最大90℃になっている(Photo17)。

  • Photo15: GPU Clockは定格1.5GHz/Boost 1.75GHz。メモリは14Gbps GDDR6が256bit幅である。

  • Photo16: 計算で言えばPCIe経由が75W、8pin補助電源が150Wなのでフルパワーだとぎりぎり足りない可能性があることになるが、昨今の電源はマージンを持っているから、多分大丈夫と判断したのだろう。

  • Photo17: 余り放熱に関してはマージンが無い感じである。まぁこの辺はOEMベンダーが独自設計でより放熱を強化したOCモデルを用意することになるのだろう。

テスト環境、RTX主要全モデルとRadeonを用意

ということで、ベンチマーク環境について。今回はGeForce RTX 3080/3090の時の環境をそのまま維持し、ベンチマークも可能な限りバージョンアップせずにそのまま実施している(Steam/EPIC経由のゲームは自動アップデートがかかるのでどうしようもないのだが)。テスト環境は表1の通りだが、要するにGeForce RTX 3090のテストの時そのままである。結果もGeForce RTX 3090のテストのものをそのまま流用し、ここにGeForce RTX 3070の結果を足した形になっている。このため、テストの手順などは割愛する。

■表1
CPU Ryzen 9 3900X
Motherboard ASUS TUF Gaming X570-PLUS
BIOS Version 2607
Memory CFD W4U3200CM-16G×2 DDR4-3200 CL22
Video GeForce RTX 2080 Super Founder Edition
GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition
GeForce RTX 3070 Founder Edition GeForce RTX 3080 Founder Edition ASUS ROG-STRIX-RTX3090-24G-GAMING Radeon RX 5700 XT Reference
Driver GeForce Driver 452.06 DCH WHQL GeForce Driver 456.96 DCH GeForce Driver 456.16 DCH GeForce Driver 456.38 DCH Radeon Software 20.8.2
Storage Intel SSD 660p 512GB(M.2/PCIe 3.0 x4) (Boot)
WD WD20EARS 2TB(SATA 3.0)(Data)
OS Windows 10 Pro 日本語版 Version 2004 Build 19041.450

ちなみにテスト中の表記は

2080 Super:GeForce RTX 2080 Super Founder Edition
2080 Ti :GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition
3070 :GeForce RTX 3070 Founder Edition
3080 :GeForce RTX 3080 Founder Edition
3090 :ROG-STRIX-RTX3090-24G-GAMING
5700XT :Radeon RX 5700XT Reference

となる。また一部のテストではRT(Ray Tracing)On/Offの両方が混在している。ここでRTを有効にしたものは

2080 Super RT:GeForce RTX 2080 Super Founder Edition RTX On
2080 Ti RT :GeForce RTX 2080 Ti Founder Edition RTX On
3070 RT :GeForce RTX 3070 Founder Edition RTX On
3080 RT :GeForce RTX 3080 Founder Edition RTX On
3090 RT :ROG-STRIX-RTX3090-24G-GAMING RTX On

となっている。また解像度表記は

2K:1920×1080pixel
2.5K:2560×1440pixel
3K:3200×1800pixel
4K:3840×2160pixel

とさせていただく。

◆3DMark v2.12.6949(グラフ1~6)

3DMark v2.12.6949
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/3dmark

10月16日に3DMark Wild Lifeが発表されており、これに合わせて最新版はv2.14.7042(まずv2.14.7040がリリースされ、その後でv2.14.7042が追加された)になっているが、今回はその前のバージョンのままである。

  • グラフ1

  • グラフ2

  • グラフ3

  • グラフ4

Overall(グラフ1)を見ると、確かにGeForce RTX 2080 Superよりはずっと高速だが、GeForce RTX 2080 Tiにはちょっと及ばない程度というのがGeForce RTX 3070の結果である。Graphics Test(グラフ2)もこれを裏付ける結果になっているし、CPU Test(グラフ3)もほぼ変化がない。Combined Test(グラフ4)だと、FireStrikeの場合だけ、ほんのちょっとGeForce RTX 2080 Tiを上回っているが、大きな差とは言えない。

  • グラフ5

  • グラフ6

DLSS(グラフ5)はOn/Offともに、やはりGeForce RTX 2080 Tiよりちょっと劣る程度。PCI Express TestではまぁPCIe Gen4対応ということできっちり性能は出ているが、これはあまり描画性能には関係ないだろう。総じて、

GeForce RTX 2080 Super < GeForce RTX 3070 < Geforce RTX 2080 Ti

といった結果に終わっている。

◆Basemark GPU 1.2(グラフ7~12)

Basemark GPU 1.2
Basemark
https://www.basemark.com/products/basemark-gpu/

  • グラフ7

  • グラフ8

  • グラフ9

  • グラフ10

  • グラフ11

  • グラフ12

こちらでも3DMarkと同じ傾向が繰り返された。DirectX12(グラフ7)、OpenGL(グラフ9)、Vulkan(グラフ9)ともに、Avgを見るとGeForce RTX 3070はかなりGeForce RTX 2080 Tiに肉薄するものの、追い越すには至っていない。フレームレート変動を見ても、たとえばDirectX 12(グラフ10)の場合、300フレームあたりまではほぼ同じフレームレートだが、その後わずかながら明確なフレームレート差が生じ、最後まで続く感じになっている。Vulkan(グラフ12)も同じだ。OpenGL(グラフ11)については、前回も書いたがCPUがボトルネック(主にドライバの問題)になっており、そのためフルの性能が引き出せておらず、結果としてほぼフレームレートに差が無いように見えるが、これは性能が一緒とという意味にはならないだろう。

◆SuperPosition v1.1(グラフ13~19)

SuperPosition v1.1
Unigine
https://benchmark.unigine.com/superposition

  • グラフ13

  • グラフ14

  • グラフ15

  • グラフ16

  • グラフ17

  • グラフ18

  • グラフ19

SuperPositionでも、やはりGeForce RTX 3070はGeforce RTX 2080 Tiに及ばない結果になっている(グラフ13~15)。実際フレームレートを見ると、例えば2K(グラフ16)で80~110秒のあたりはCPUネックのためか上位陣のフレームレートがほぼ拮抗しているが、ここでもGeForce RTX 3070はちょっと低めになっており、またその前後は結構明確に差がでている。解像度が上がるとこの傾向は顕著である。