――当時は子どもから大人まで、幅広い年齢層から応援されていたと思います。ファンの方からもらった言葉や贈り物で、今でも忘れられないものはありますか?
佐野:第1話が放送されたすぐ後だったと思います。野外で撮影をしていたら、小さな男の子が近寄ってきて「紘汰、これあげる!」と言って一枚の"葉っぱ"をくれたんです。本当にただの葉っぱなんですけど、彼はこれを紘汰にあげたいと思ったわけじゃないですか。それが僕にとって、初めて子どもからもらったプレゼントだったんです。あまりにもうれしくて、うれしくて、その葉っぱを今でも大事に持っているんです。もう7年も前ですから、すっかり乾燥してカピカピになってるんですけど、これからも大事に取っておこうと思っています。
小林:僕の場合は、男性のファンのみなさんから「戒斗さん尊敬してます!」とか「応援してます」と言われたことがすごく心に残っています。『鎧武』に出演するまでは、仮面ライダーの(大人の)ファン層はどちらかというと若い奥様とか、女性が多いように思っていたんです。でも、そのとき大人の男性からもすごく愛されていることを実感したんです。「戒斗さん、一生ついていきます!」とか、熱のこもった言葉を聞くと、こんなにも人の心を引きつける役をいただくことができたのは、本当にうれしく、ありがたいことだと感じましたね。
――佐野さんの事務所の後輩にあたる押田岳さんは『仮面ライダージオウ』(2018年)で仮面ライダーゲイツ/明光院ゲイツ役でレギュラー出演された際、先輩・佐野さんからの励ましを受けて張り切ったとお話されていました。押田さんのような"後輩"仮面ライダーが育ってきていることについて、どんな思いを抱かれていますか。
小林:押田くんとは『ジオウ』で共演しましたけど、すごく好感度の高い青年でしたね!
佐野:そうだね。『ジオウ』映画の舞台挨拶のとき、押田くんや奥野壮くん(常磐ソウゴ役)が僕の言った言葉を大事に思ってる……なんて話しているのを聞き、ああ、自分の言葉がちゃんと彼らに響いていたんだ、とうれしく思っています。
小林:現場で一緒にいたとき、ゲイツってめっちゃ戒斗に似てるなって思いました。クールキャラの系統ですよね。でも素の押田くんは「ユタカさ~ん」なんて言って、声がとてもかわいいんです。そのとき思ったのは、戒斗やゲイツみたいな役を演じる人は、役柄と本人との間に"ギャップ"がないといかんのかなあってことでした。おそらく、そういう人を選んでいるのかもしれないけど(笑)。ほんとにすごく真面目で「豊さん、お芝居付き合ってもらっていいですか」と言って、いっしょに台本の読み合わせをやっていました。すごくいい奴で、あのときから僕の中で「岳」といえば「佐野」ではなく「押田」になりました(笑)。
佐野:そこは佐野だろ(笑)! 松田岳(仮面ライダーナックル/ザック役)もいるし!
小林:そうだね! あと、去年(2019年)やった舞台版『仮面ライダー斬月-鎧武外伝-』でグラシャ/プロトバロンを演じた増子(敦貴)と会ったとき「お会いできてうれしいです!」ってすごく感激してくれました。今でもすごく懐いてくれてます。
佐野:一緒にご飯行った?
小林:行った行った(笑)。子どものころ『鎧武』を観ていた人が役者の後輩になって、僕たちを尊敬のまなざしで見てくれるって、不思議な感覚ですよ。
佐野:僕ら自身が、先輩たちからいろいろよくしてもらっていましたからね。映画『平成ライダー対昭和ライダー 仮面ライダー大戦 feat.スーパー戦隊』(2014年)でご一緒させていただいた、藤岡弘、さん(仮面ライダー1号/本郷猛役)なんて、凄かったね。
小林:藤岡さんは本当に、凄い迫力でした!