芸能人がYouTubeに進出したことで、テレビをメインに見てきた視聴者がYouTubeを見るように。かたや、YouTuberがテレビに進出することで、ネットばかり見ていたユーザーがテレビを見るようになってきており、「いよいよ日本人の“コンテンツの行き来”が活発化してきた。僕らテレビ屋、および放送作家にも、新たなチャンスがあるのでは?」とうれしそうに話す。
さらに、「そうなったら、ますますYouTubeは“企画”の時代になってくるはずですよ。つまり、“YouTube3.0時代”に突入します」と予測し、「分かりやすい例で言うと、チョコレートプラネットさんの『香水』のパロディ企画動画ですよね」と挙げた。
テレビ界は今、高齢層の視聴が数字を左右する世帯視聴率から、ファミリー層・若者層の個人視聴率を重視する方針に転換。そこに、テレビディレクターたちがYouTubeで手応えのあった企画を、テレビに逆輸入するという流れも考えられる中で、「もうテレビもYouTubeもごちゃまぜになって、“コンテンツ爆発”が起こるのではないでしょうか」と期待を寄せた。
■視聴率以外の評価基準ができた
『有吉の壁』(日本テレビ)では、公式YouTubeチャンネルでオリジナルコンテンツを配信しており、中には数百万再生を記録する動画も。カツオ氏が担当する『有吉ぃぃeeeee!』(テレビ東京)の公式チャンネルも好調だ。
そうすると、「大きなビジネスチャンスになってくるのですが、仮にテレビの視聴率が打ちきりになるくらい落ちてきたときに、YouTubeチャンネルの登録者が100万人いたら、テレビ局がどう判断するのか?というのが、興味がありますね。番組を続けていれば、その番組YouTubeチャンネルにタレントさんも呼びやすいし、スタジオセットもいいし、普通にYouTubeにかけられる以上の予算を投下できます。でも、番組を終わらせたら、そのせっかく登録者を獲得したコアファンを手放すことにもなる。そのときのテレビ界の動きはまた楽しみですね」と、視聴率以外の大きな評価基準ができたことを実感している。
テレビとYouTubeの垣根を壊すさらなる要素として、今後テレビ各局がネット上での番組同時配信を進める動きもある。日本テレビ・読売テレビ・中京テレビは、10月3日から12月まで、トライアルとしてプライム帯(19~23時)の番組を中心に開始し、NHKではすでに4月から「NHKプラス」を展開している。
「テレビから発せられるコンテンツを何で見るのかというのが、関係なくなってきていますよね。よく『テレビは終わる』なんて勘違いしてる人が言っていますが、それはテレビ受像機という箱の話であって、テレビクリエイターたちが持っている力は全く終わらないですから」といい、そのプレイヤーの1人として、「楽しみでもありますが、めちゃくちゃ実力と経験のある先輩の放送作家たちが本腰でYouTubeに来たときが一番怖いです(笑)」と本音を吐露した。