――例年なら「夏の劇場版」が8月に公開されるはずでしたが、これも新型コロナの影響で撮影が延期となり、仕切り直しで12月公開に向けて製作中だそうですね。

そうなんです。夏の映画としてテレビシリーズの終盤と同時進行で企画が進んでいて、さあ撮影するぞ!というくらいのタイミングで"自粛要請期間"に突入してしまったんです。テレビの最終展開と共に、映画を撮る気まんまんでしたから、あのときはちょっと肩透かしを食らった感じでした。

公開が延期になったことによって、夏映画のために作った台本を、けっこう各部分にわたって書き直しました。もっとも大きな修整は、作品の時系列です。最初の台本はまだテレビシリーズが完結していない時期だったのに対し、今回の映画では最終回のあと、3か月が過ぎたという設定になっています。

――テレビシリーズ最終回で、謎めいた登場をした伊藤英明さん演じるエス/仮面ライダーエデンがどういう行動を取るのか、にも期待が集まっていますね。

伊藤さんはすごくカッコいい役柄で出ていますので、ご期待ください。アズ(演:鶴嶋乃愛2役)も衣装を変えて心機一転で活躍します。

――アズといえば、あの「髪の長いイズ」というべきアズのキャラクターは、杉原監督が演出した『ゼロワン』のオープニング映像(第2話より)に出てくる "謎"の存在でしたが、5月17日放送の「プレジデント・スペシャルPART.01」から、まさかの実体化を果たしました。そもそもあのオープニングでのアズはどのようにして生まれたのですか。

オープニングで、或人が大勢のヒューマギアから囲まれるというビジュアルがありましたが、あれはいくつもある選択肢をミスった場合の未来で"おこりうる世界線"といったイメージだったんです。どこかでボタンをかけちがえたら、ああいう世界にもなるんじゃないか、というイメージ。オープニングを撮るとき、大森さんに「こういうのを出しますけど、いいですか」と聞いたら「いいですよ」と言われて「ああ、いいんだ!!」と思いながら出してみました(笑)。その後、テレビ劇中にもアズとして出てきたのには驚きましたね。

――今度の劇場版は『ゼロワン』テレビシリーズのムードを受け継いでいるでしょうか、それとも映画として独立したストーリーになりますか?

僕はテレビシリーズの"後日談"というイメージで作っています。最終回を観た方がいちばん心配しているであろう"イズの今後"にもしっかり向き合う台本です。新しいイズはあのときのイズではないので、彼女がこれからどういう成長をしていくのか、そして過去のイズはどうなっちゃうのかというところも、少し描かれているかもしれません。

――映画ならではの見どころは、どんなところですか。

今までにないアクションの"見せ方"に挑んでいます。ご覧になったら、ちょっと客席が"ザワッ"とするんじゃないかっていうくらいの、挑戦的なビジュアルを楽しんでほしいです。ロケ地になかなか行くことのできないこのご時世で、スタッフが頑張ってすごくいい場所を探してくれました。とんでもないロケ地で撮影していますから、本当に楽しみにしてください。こんなところで撮っていいのかなって場所が、ふつうに出てきます。コロナ禍以前でも、撮影できないんじゃないの?って言われそうなところが、何か所も出てきます。「映画」の規模だからできる、ロケ撮影の成果にご期待ください。

――映画ならではの、或人の「一発ギャグ」は出ますか?

出ます! 或人のギャグは"お約束"なので、出ると宣言しておいても構わないでしょう(笑)。ただ、爆笑になるか、不発になるかはわかりません。映画ならではのギャグが飛び出しますので、こちらもどうぞお楽しみに(笑)!

――最後に、『仮面ライダーゼロワン』の主役で1年間がんばられた高橋文哉さんの"ここがスゴイ"という部分を聞かせてください。

現場で僕たち監督が「こういう芝居をやってもらいたい」と説明するとすぐに理解して、100を求めているとさらに"上"を返してくれるところです。こちらもどんどん要求を高くしているんですが、それにもちゃんと食いついて、いい結果を残してくれるんです。文哉くんと仕事をしていて、本当に面白かったですね。彼はこの1年間でもっとも伸びたのではないでしょうか。芝居が出来るだけじゃなくて、ものすごく普段の気遣いができる男なんです。『ゼロワン』キャスト陣の先頭に立っているという"自覚"と"責任感"がものすごくあって、こいつが主役でよかったな……と心の底から思える役者でした。