5G:普通に使えるほどエリア展開が広くない

5G性能に対する評価は、時期尚早でしょう。確かに、5Gの高速通信が繋がる場所なら快適です。au回線なら、東京・新橋駅前のSL広場で5Gをつかめば、300~400Mbpsという固定回線に近い速度も計測できます。

一方で、現時点での5Gエリアは各社ともかなり限定されています。auの場合、東京・銀座でもエリア展開していますが、5G基地局がエリア化している周辺のおよそ15m四方の範囲から少しでもずれると4G LTEに戻ってしまうくらい限定的です。銀座ではソフトバンクの基地局もいくつか展開していますが、歩きながら使うと4G LTE接続に戻ってしまいます。

  • au 5Gでは高速な通信速度を実感できたが、5Gにつながっても4G LTEと同じくらいの速度だったことも

auとソフトバンクの2キャリアを例に挙げましたが、エリア展開の乏しさは他社も同じような状況です。NTTドコモの5G基地局の大半はドコモショップの店内に存在します。楽天モバイルは10月に5Gを開始しましたが東京都内のわずかな基地局は、ほとんどが楽天本社のある二子玉川に集中しています。残念ですが、いまは「モバイル通信」として5Gを評価できる状況にはないといわざるを得ない状況です。

幸い、5Gをつかまなくても、全国に広がる4G LTE網が利用できます。ソフトバンクやauの料金プランは、期間限定のキャンペーンなどを併用すれば、5Gも4G LTEプランと同額で契約できます。当面は4G LTEで我慢して、5Gネットワークを待つとしても、運用コストは大きくは変わらないでしょう。

結論:まさに「普段使いの5Gスマホ」。軽妙洒脱な一台

5Gの売りは、超高速な通信です。動画をストリーミングでバンバン視聴しても、ストレスを感じません(繋がるのであれば)。こうした発想から、5G当初のハイエンドスマートフォンは、大画面に大容量バッテリーを搭載するモデルばかりが並ぶことになりました。

一方で、スマホの用途はなにも動画視聴だけではありません。まずは普段使いでも許容できるサイズ感や重さ、機能を満たした上で、できれば5Gにも対応していてほしい。そういうスマホを望んでいた人も多いはずです。

Pixel 5はその期待に対し、重すぎず、手に馴染むデザインと機能の絞り込みで応えてきました。Pixelシリーズらしい、トリッキーな要素はほとんどなくなりましたが、5Gのパフォーマンスと価格、電池持ちとデザインといった各種の要素を絶妙なバランスで盛り込んだ、誰でも使いやすい一台です。

ある意味で、グーグルらしい“究極のスマホ”を体現する存在といえるでしょう。

Pixel 5の主なスペック

  • OS: Android 11
  • CPU: Snapdragon 765G(オクタコア、2.4GHz×1/2.2GHz×1/1.8GHz×6)
  • 内蔵メモリ: 8GB
  • ストレージ: 128GB
  • 外部ストレージ: 非対応
  • サイズ: 約144.6×70.4×8.0mm
  • 重さ: 約151g
  • ディスプレイ: 約6.0インチ 有機EL(2,340×1,080ドット)、90Hz駆動対応
  • メインカメラ: 約1,220万画素(標準)+1,600万画素(超広角)
  • インカメラ: 約800万画素
  • Wi-Fi: Wi-Fi 5(IEEE802.11a / b / g / n / ac)
  • バッテリー容量: 4,080mAh
  • 防水/防塵: ○/○
  • 生体認証: ○(指紋認証)
  • ワンセグ/フルセグ: ―/―
  • おサイフケータイ: ○(NFC/FeliCa搭載)
  • 接続端子: USB Type-C
  • カラーバリエーション:Jsut Black、Sorta Sage