カメラ:待望の超広角がやってきた。望遠性能は後退

カメラはPixelシリーズの伝統を受け継ぎつつ、より実用的な方向へと軌道修正しています。Pixel 5はシリーズで初めて、超広角レンズ対応のデュアルカメラを搭載します。

  • Pixelシリーズ初の超広角カメラ搭載。デュアルカメラ仕様で、Pixel 4にあった望遠の搭載は見送られた

Pixelスマホのカメラの“伝統”といえば、「計算写真」を基礎としていること。すなわち、レンズの大きさなど光学的な設計に頼らずとも、ソフトウェアとアルゴリズムの改善で写真の画質を向上できるという設計思想です。この発想が通用するPixel シリーズの暗所撮影の性能は、スマホのカメラの中でもトップクラスに位置しています。

  • 左から、Pixel 4、Pixel 4a、Pixel 5。一般的なハイエンドスマホでは3眼、4眼が主流なところ、これまでPixelは多くて2眼のカメラを搭載。ソフトウェア重視で写真画質の向上が試みられてきた

一方で、超広角という広い画角は、ソフトウェアの改善だけでは上手く制御できません。Pixel 5が超広角+広角という構成となったのは、スマホカメラの最新トレンドに追いつくためのハードウェア選択だったといえそうです。

前世代モデルのPixel 4では、超広角ではなく望遠レンズを搭載し、超解像ズームを売りとしていました。今回のPixel 5では望遠レンズは省かれたため、最大ズーム倍率も8倍から7倍へと落とされています。

しかし、被写体によっては解像感が落ちている印象はありません。超解像のズームで画質を補うためのソフトウェア技術は未だに有効なためです。たとえばレンガ調のタイルのような典型的なパターンであれば、AIが“それっぽく”補って見栄えの良い画像を生成します。

  • Pixel 5とPixel 4で同じ被写体を撮り比べた例。細部まで描写している

Pixel 5の超解像ズームは上手いこと機能していますが、複雑な模様を撮ると“ごまかし”も垣間見えます。パターン認識が上手く働かない箇所に対しては、模様にボカシがかかったような画像になります。これは普及モデルのPixel 4aなどと同じような画像生成の傾向です。

写真作例:超広角カメラ・広角カメラ・夜景モードなど

Pixel 5の超広角カメラ・広角カメラで撮影した作例をいくつか紹介します。画像は横1,200ドットにリサイズしていますが、画像をクリックすると原寸大画像(横4,032ドット)へアクセスできます。

  • Pixel 5の超広角カメラは視野角107度相当。風景をダイナミックに切り取れる

  • Pixel 5の広角カメラの作例。視野角は77度相当

  • Pixel 5の最大倍率、7倍ズームで撮影。デジタルズームにしては破綻が少ないように見える

  • 銀座三越の壁面レリーフを7倍ズームで撮影。模様の下半分がややぼかしを入れたようになっている

  • マクロ撮影の作例。陰影をはっきり描写している。背景のボケも被写体の輪郭に沿っている

  • ポートレートモードで撮影。画角は1倍と1.3倍から選択可能

  • 食事の撮影例。 屋内照明の下でも適度なホワイトバランスと被写界深度を保っている

  • 夜の東京・銀座を夜景モードで撮影。光源の明るさが際立つ