●最初の会議でリードトラックの歌詞を提案
――様々な活動を経てのデビュー。アーティスト活動においては、「80'sシティポップ」を発信していきます。デビューミニアルバム『Moonrise』はまさに、そのテーマにふさわしい楽曲が集まった一枚になっていると感じます。
ありがとうございます。自らの発案なので、そういっていただけるのは嬉しいですね。
――改めて、ミニアルバムの制作がどのように進んでいったのか、教えてください。
制作に関する話し合いの際、本間さんの第一声が「好きなことをやっていいよ」だったんです。「それなら」ということで、本当に自由にやらせていただきました(笑)。実は「80'sシティポップ」というコンセプトでいきたいという企画書を出した時に、リードトラック「CITY」の歌詞も併せて提出したんですよ。それもあってか、スタッフの皆さんが私の想いを早くに理解してくださり、意図を吸い上げてくださったんです。最初の打ち合わせからみんなで同じ方向性を向けたのが、嬉しくもあり、心強いなとも思いました。
――「CITY」の歌詞を最初の打ち合わせで提出されたとのことですが、ミニアルバムの全曲を作詞するというのもご自身の希望だった?
全曲書くことは希望ではなく、想像もしていませんでした。ただ、実際に制作を進めていくなかで本間さんが「他の曲も含め、今後は歌詞も書いていかない?」とおっしゃってくださって。「それなら……!」と思い、今回は6曲とも作詞を担当しました。
――まさに、「職人」ですね……!
全然そんなことないですよ! 周りの方がそう言ってくださっているだけなんです。
――経験のないことでもアクティブに挑戦する心意気は、忖度なしで尊敬します。曲についてはどのように制作を進めていきましたか?
私のほうでC-C-BさんやWinkさんみたいな曲がいいということや、テクノサウンド系がいいという抽象的なリクエストを本間さんにお伝えしました。ただ、それ以上のものを本間さんが上げてきてくださるんですよね。もう何も言わなくても通じていると感じました。出会ってまだ半年ほどですが、本間さんとは喋っていて楽しいですし、心地よいです。
――降幡さんのやりたいことを本間さんが大きくしてくださっている。
本当にそうなんですよね。この出会いに、感謝です。
――ちなみに、本間さんのことは元々ご存知でしたか?
はい。テレビ番組にご出演されているのを拝見して、お喋りが上手な方だと思いました。実際にお会いしても、その印象は変わらなかったです。それでいて、これまで数々の実績があるのに、同じ目線で話してくださるんですよ。しかも、常に楽しんでいらっしゃるんですよね。私も余裕を持った女になりたいなと本間さんを見て思うようになりました。
●自分でも驚いた「声」のふり幅
――尊敬する存在となった本間さんプロデュースのもと制作された本ミニアルバム。先ほどからお話が出てきますが、改めてリードトラック「CITY」について教えてください。
まず今回のミニアルバムは、自分の名前に「愛」が入っていることもあって、ラブソングを入れたいと思ったんです。中でも80年代となれば、大人な恋愛というイメージがありました。その前提を踏まえたうえで、私がこれまで見たり、聞いたりしてきた経験や思い出も時に織り交ぜながら歌詞を書いています。 「CITY」は、私が長野から上京してきたとき、都会の夜がとても明るくて衝撃を受けたことをイメージしながら書いた詞ですね。上京したばかりの頃は友達の車でレインボーブリッジなどに行っていたんです。とてもキラキラしていましたね。その思い出をイメージしつつ、ラブソングに落とし込みました。
――私も兵庫から上京してきた身ですので、そのキラキラに衝撃を受ける気持ち、よくわかります。
「テレビで見ていたやつだ!」ってなりますよね。
――まさしく。本間さんからは歌詞について何か言われましたか?
「いいじゃん!」と(笑)。
――それだけ仕上がっていたんですね! 続いて、本間さんの曲を聞いたときの率直な気持ちについても振り返っていただければと思います。
もう大感動! 令和にこのサウンドが届くと思うと、気持ちが昂りました。とにかく誰かに思いを伝えたくて、マネージャーさんにすぐさま「ヤバいの来ましたね」と連絡しました。
――それほどまでに!
はい! 元々「夜のイメージです」「ドラムの軽い音やピコピコしたサウンドを使いたいです」とはお伝えしていたのですが、もうドンピシャのものすぎて、衝撃を受けました。特にイントロが素晴らしい。これが自分の一曲目になるんだと思うと、嬉しくて仕方なかったです。
――そんなご自身名義としては初となる楽曲「CITY」。レコーディングはいかがでしたか?
すごく緊張していましたが、自ら歌詞を書いている分、テーマはハッキリ分かっていたので、そこは意識して歌えました。歌ううえで意識したのは、80年代を代表するアーティストさんのまっすぐな声。あとは「大人」というイメージを持って歌いました。本間さんにもたくさんディレクションしていただき、とても勉強になりましたね。あとは、キャラクターソングを歌う声優としての私とは違う「自分の歌声」を知れたのが嬉しかったです。
――声優としてもいくつかのキャラクターを演じられていますが、それとは一線を画す歌声ですよね。普段の声ともまた違う。
確かに、普段の声とも違いますね! これまでイベントでも私個人では歌ってこなかったので、今回は皆さんに私の歌声が低めということを知っていただける機会になったと思います。
――ちなみに、学生時代の合唱コンクールなどではアルトだった?
アルトやメゾソプラノでした。ソプラノはあんまりやってこなかったかも。
――カラオケも低めの声で歌っている?
言われてみれば、そんな気がします。そもそも、専門学校時代は年上のお姉さんやおばさんなど、わりと年齢が高めの役ばかりを演じていたんですよ。それゆえに、演じるときの声も低めでした。なので、皆さんも知っている私が演じるキャラクターだと「高い声」というイメージがあるかと思いますが、私としてはそちらのほうが意外なんですよね。自分としても「こんなにふり幅があるんだ」と、驚いています(笑)。
――なるほど。本ミニアルバムの初回限定盤には「CITY」のMVが収録されたBlu-rayも付属します。MVの撮影はいかがでしたか?
今回のMVはライブをしているような雰囲気のものだったので、特別「撮られている」という意識がなく、普通にライブしている感覚で撮影ができました。また、バンドメンバーの方々ともその時が初顔合わせだったのですが、すごくいい方たちだったので、初のMV収録だったにも関わらず、あまり緊張しませんでした。
――MVのコンセプトも自分のなかにあった?
アニメーションを取り入れたい、フィルムっぽい質感がいいといった希望があったので、それはお伝えしました。それを監督さんが吸い上げて、形にしてくださったんです。自分の頭のなかで思い描いていたものがそのまま映像になっていたので、すごく嬉しかったですね。