個人で高精細放送が可能になるBaaS

5Gスマホ1台で、テレビ中継できる世の中になりそうです。これをBaaS(バース、サービスとしての放送:Broadcast as a serviceの略)と呼んでいます。

取り組みを後押ししているのは、放送機器のIP化、4K / 8K映像の需要増という時代の流れです。従来のテレビ中継なら、高精細なテレビカメラ、エンコード技術、スタジオに伝送するためのモバイル通信機器が必要でしたが、これらが今や5Gスマホだけで補完できる時代。そこでソフトバンクでは、データセンターに映像を送れば適宜保存・編集・解析して配信者に提供する、ワンパッケージのサービスを予定しています。

カメラ映像には、一般人の顔、看板広告など都合の悪いものも映ってしまいます。そこでエッジコンピューティングでAI処理をして、リアルタイムにぼかし処理をする技術も開発しています。

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  • 遠隔地からも、映像制作や編集が可能になるソフトバンクのBaaS。これにより、新たな働きかたを創出していくとしています

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    リアルタイムぼかし処理のイメージ。山田氏(顔を登録済み)にはぼかしが入らず、筆者を含めた周りの人物には即、ぼかしが入りました。ほぼリアルタイムでこれを実現します

「6G」の商用化に向けて

10年後の商用化を見越して、第6世代移動通信システム「6G」の開発もスタートしています。5Gで用いられる『ミリ波帯』よりもさらに周波数が高い『テラヘルツ帯』を使用したもので、300GHz~3THzを使う仕様。とにかく直進性が高く、いま「何に使えるか」について模索している段階です。ちなみに先日の通信実験では、下り通信速度32Gbpsを計測したんだとか。文字通り、ケタが違いますね。

山田氏は「例えば、航空機の搭乗ゲートでスマホをかざせば見たい映画数十本を一瞬でダウンロードできる、といった非接触のサービスにも適しています。また、ビルとビルをピンポイントで結ぶ通信の役割も果たせます。光ケーブルの代わりに、6Gで近距離通信を担う使い方ですね」などと話していました。

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    テラヘルツ波による「6G」実用化へ

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    小型誘導体アンテナも展示されていました。中央で金色に輝くのはテラヘルツ帯用のパラボラアンテナ。右下の米粒は6Gスマホに搭載するテラヘルツ通信用の超小型アンテナです