多くの人が経験するであろう「クレーム対応」。「仕事は楽しいけど、クレーム対応は嫌い」という方も少なくないのでは?
本稿では、クレーム対応に関する実際のデータや、適切に対応するために鍛えたいスキルや、知っておきたいコツ、さらにはNG行為について紹介します。
適切な「クレーム対応」は会社の利益につながる
適切なクレーム対応は、会社に利益をもたらします。もし、クレーム対応をおろそかにしてしまうと、「あの会社はダメ」「あの商品はダメ」という印象を持たれてしまい、販売する商品やサービスが売れにくくなる可能性があります。さらには、悪い評判が出て株価が下がる、営業社員がストレスを抱えてしまう、求人に影響が出る、商品やサービスがSNSで炎上してしまう……といった可能性も。
そうした危機を避けるために、クレーム対応を適切に行うことは、非常に重要です。
クレームが発生するのはどんなとき? データで紹介
それでは、クレームが発生するのはどんなときなのでしょうか?
日本労働組合総連合会(略称:連合)が2017年に発表した「消費者行動に関する実態調査」のデータを見ていきましょう。なお、同調査は、全国の15歳~69歳の男女2,000名(一般消費者1,000名、接客業務従事者1,000名)を対象に、ネットエイジア協力のもと、インターネットリサーチにより実施したものです。
調査によると、消費者・接客業務従事者が「どのようなクレームを言ったことがあるか」について、以下の割合での回答があったそう。
一般消費者が「言ったことのある苦情・クレームの内容」の上位5項目は以下の通り。飲食店での異物混入に苦情を言ったことのある人が多いようです。
「食べ物に異物が混入していた」(32.4% )
「商品が不良品」(31.4% )
「注文した料理が出てこない/出てくるのが遅い」(30.4% )
「注文した料理と出てきたものが違う」(26.3% )
「釣り銭が間違っていた」(20.2% )
一方、接客業務従事者が「言ったことのある苦情・クレームの内容」の上位5項目は以下の通り。こちらは一般消費者とは異なり、不良品へのクレームが最も多くなっています。
「商品が不良品」(38.4% )
「注文した料理と出てきたものが違う」(34.5% )
「注文した料理が出てこない/出てくるのが遅い」(34.3% )
「食べ物に異物が混入していた」(32.6% )
「従業員のマナー、態度が悪い」(20.5% )
鍛えたい「クレーム対応スキル」3選
さて、クレームが発生するケースについて紹介しましたが、実際に、こうしたクレームを受けた際にはどのように対応するのがよいのでしょうか。
ここからは、クレーム対応を適切に行うために重要な「3つのスキル」を紹介します。
スキル1:知識を深める
1つ目は、仕事への知識を深めることです。自分の仕事への知識があるかないかで、クレームへの対応方法が大きく変わります。例えば、先に紹介した調査において、「商品が不良品」の場合にクレームが発生したケースが多くありました。
このケースで正しい商品知識があれば、商品が正しく動くための対処法を伝えられる可能性があります。また、正しく動かないのであれば、その原因についても確認し、適切な対処法を練ることもできるでしょう。
スキル2:冷静さ
2つ目は、冷静さです。主なクレーム対応の窓口となるコールセンターの仕事をしていると、ときどき理不尽なことを言われたり、いきなり怒鳴られたりすることもあるでしょう。
そういった際に、冷静さを欠き、感情的な言葉をぶつけてしまうのは逆効果です。大クレームに発展してしまうこともあります。常に冷静さを保ち、クレームに対応するよう心がけましょう。
スキル3:応対力
3つ目は、応対力です。応対力とは、相手の感情に応じて受け答えをする力のこと。似た言葉に「対応力」がありますが、対応力が「相手の置かれている状況や課題」に向き合うのに対し、応対力で向き合うべきは「相手の感情」となります。
たとえば、相手が感情的に「返品不可の商品を返品したい」などと無理な要求をしてきた場合を考えましょう。まずは相手に共感し、気持ちを落ち着かせることが求められます。この行動が「応対」です。その後、実際に相手の要求について状況に応じて最善策をとるのが「対応」です。
応対力がある人は、予期せぬ事態に遭遇しても、まずは相手の心と向き合い、その後はクレーム対応マニュアルなどを使って適切に対応する――という流れで問題を解決に導けます。