それぞれのエンターテインメント

――エンターテインメントの在り方はこれから変わってくると思います。皆さんが関わっているエンターテインメントは今後、どのように変化していくと思いますか? またそれに対してどのように向き合いたいですか?

棚橋:以前のように、超満員のお客さんが大きな声援やヤジを飛ばしているなかで試合をするのがゴールだとは思っています。ただ、そこに至るまでどのくらいの期間が必要なのか、今はまだ見えません。無観客試合などを含め、しばらくは新しいプロレスの形を探しながら皆さんに楽しんでいただこうと思っています。急いではダメ。「大丈夫です」「安心してください」ということを積み重ねて、信頼を勝ち取っていくのが大切なんじゃないかな。

愛美:ライブの配信、そしてYouTubeを始める声優さんも増えるなど、時代がものすごい勢いで変わっていると感じています。そこに振り落とされないようにしないといけません。ただ、流れに乗るだけじゃなくて、自分たちで新しい発信の仕方を見つけることも必要だと思っています。具体的に「こういうことを」というのはまだ思いつきませんが、時代の変化に抗わず、私もエンターテインメントを届けるべく頑張っていきたいと思います。

――声優の仕事の仕組みも変わるかもしれません。

愛美:これまでのスタイルだと現場はどうしても密になりがちなので、それを回避する収録体制が整ってくるかもしれないですよね。私もこの機会に機材を揃えたりマイクを購入したりしました。もしかしたら、自宅で収録する設備があるのが当たり前になる時代がくるかもしれません。今はアンテナを張って日々を過ごそうと思います。

木谷:「ピンチはチャンス」とよく言いますが、今年は本当に大きく動くと思っています。10年かかっていたかもしれないものが1年、2年で進化する可能性だってあります。例えば働き方。当社では2月中旬の時点で在宅勤務と時差通勤システムを整えて欲しいとお願いしました。秋葉原と新宿でパソコンを購入して、マスクも調達、それを1週間で行ったんです。幸いなことに弊社は社員の平均年齢が31歳と若いので、仕組みさえ作れればデジタル化や働き方の変更には、わりと早く順応できました。

今は毎日在宅勤務率を測って、お昼にはその数字を出しています。現在は社員の50~60%が出社していますが、11月頃には10~20%に下げても大丈夫なように体制を整える予定です。新型コロナウイルスの感染拡大が落ち着いたとしても、インフルエンザが流行する時期は会社に出ないほうがいいと思うので。こういう働き方に関しても、一歩前進したなと思っています。

――ビジネス面ではどのような変化があると思いますか?

木谷:これまでお話している通り、オンラインを利用したサービス・商品化が進んでいくでしょう。当社でもまだ色々な取り組みを行う予定ですので、楽しみにしていてください。一方、リアルでの展開はどうなるのか。これは逆に、価値の大事さや貴重さが浮き彫りになっていくと思います。

――オンラインでのライブエンターテインメント展開が増えたとしても、実際に足を運ぶことへの価値が下がるわけではない。

木谷:アメリカンフットボールの最高の大会である「スーパーボウル」は、視聴率が40%あります。つまりは、アメリカ国内だけで1億2,000万人が見ていることになる。その「スーパーボウル」のチケットは、後ろの席でも何千ドルで販売されているんですよ。つまり、見る人が大勢いればいるほど、現場に行ってその様子を見たい人も増え、価値も上がるんです。なので、ライブやプロレスも、見る人が増えれば増えるほど、価値も上がるんじゃないかな。

――日本でいえば野球も中継がありますが、球場まで足を運ぶ人もいますよね。

木谷:音楽ライブはスポーツを参考にして、配信の仕組みを考えればいいのかなと思っています。

――本日はありがとうございました。最後に、皆さんにとってエンターテインメントがどのような存在なのか、教えてください。

棚橋:エンターテインメントは生きる目的のひとつになるものだと思います。例えば、プロレスが好きで試合を見たいから仕事を頑張る、風邪をひかないようにする、そういう衣食住を整える行動につながるものだと思うんですよね。そして、俺ら提供する側にとっては、いやらしい言い方ですけど、人を笑顔にするものだと思います。今回、新型コロナウイルスのせいで人から笑顔が消えました。なので、これからもう一度、俺たちが増やしていきます。

愛美:ほぼほぼ棚橋さんと同じ考えですが、私にとっては「幸せを作る場所」かもしれません。好きなエンターテインメントに触れると癒されたり、パワーをもらったりして、本当に幸せな気持ちになります。また、そういう素敵なエンターテインメントを作るにはどうしたらいいかなと考える時間も、幸せなんですよね。声優の仕事でも音楽の仕事でも、あーだこーだ言いながらひとつのものを作り上げる時間は楽しいですし、やりがいを感じます。それが幸せなんですよね。

木谷:ストレスを抱えないことは健康維持の面でも大切なことだと思います。そして、笑ったり感動したりすることは、ストレスの解消にも繋がります。そういう面からも、エンターテインメントの存在意義は大きいです。より多くの人に笑ってもらったり、感動してもらったりしていただくコンテンツを供給し続け、皆さんの体・精神を活性化する力になれればと思っています。

【バンドリ!情報】 8月21日(金)、22日(土)、23日(日)、夏の野外3DAYS「BanG Dream! 8th☆LIVE」を富士急ハイランド・コニファーフォレストにて開催。DAY1にはRoselia、DAY2にはRAISE A SUILEN、DAY3はPoppin'Party、前島亜美(Pastel*Palettes 丸山彩役) with RAISE A SUILEN、Morfonicaによる野外ライブが開催される。 詳しくは https://bang-dream.com/8th-live-aug を参照。

【新日本プロレス情報】 8月29日(土)、明治神宮野球場大会を開催。新日本プロレスの至宝「IWGPヘビー級」&「IWGPインターコンネンタル」王座ダブル選手権試合のほか、タイトルマッチが多数行われます。チケット情報はhttp://www.njpw.co.jp/を参照。