ドラゴンレンジャーが道筋を示した「追加戦士」というキャラクターは、スーパー戦隊シリーズそのものをいっそう活性化させ、ドラマチックに盛り上げる効果を果たした。
『恐竜戦隊ジュウレンジャー』に続く第17作『五星戦隊ダイレンジャー』(1993年)では、小学生のコウが"転身"する吼新星キバレンジャーが第17話より登場。彼は相棒となる「白虎真剣」の助けを借り、キバレンジャーとなってダイレンジャーの5人(特に、ホウオウレンジャー/リン)と深く関わっていく。
レギュラーメンバーとの年齢差によって、立ち位置の違いや個性を打ち出したキバレンジャーの方向性は、第21作『電磁戦隊メガレンジャー』(1997年)のメガシルバー/早川裕作などにも受け継がれた。裕作の場合は高校生戦隊のメガレンジャーよりも「年上」の科学者で、何でも気さくに話せる優しい"兄貴分"というポジションだった。
レギュラーメンバーと比べてもキャラクター設定の自由度が高い「追加戦士」は、まさに無限の可能性を秘めていると言ってもよいだろう。
第18作『忍者戦隊カクレンジャー』(1994年)には「ニンジャマン(怒るとサムライマンに変化)」、第20作『激走戦隊カーレンジャー』(1996年)にはシグナルマン、第22作『星獣戦隊ギンガマン』(1998年)には黒騎士/ヒュウガ、第23作『救急戦隊ゴーゴーファイブ』(1999年)には人工知能を備えた巨大ロボ・ライナーボーイなど、戦隊スーツの形状を取らない自由なスタイルの「追加戦士」も多く登場している。
第19作『超力戦隊オーレンジャー』(1996年)では6億年前の超古代(少年)戦士キングレンジャー/リキがオーレンジャーの仲間となり、第25作『百獣戦隊ガオレンジャー』(2001年)では千年前に邪悪な鬼「オルグ」と戦っていたガオシルバー/大神月麿が現代によみがえり、活躍した。ガオシルバーは当初、狼鬼(ロウキ)としてガオレンジャーの強敵ポジションにいたが、邪気から解放されたのがきっかけとなり、本来のシルバーに戻ることができた。このように、レギュラーメンバーと「生まれた時代」や「戦う使命」などが異なっているのも「追加戦士」ならではのポジショニングだといえよう。
第27作『爆竜戦隊アバレンジャー』(2003年)のアバレキラー/仲代壬琴は、最強の戦士でありながら正義感が恐ろしいほどに希薄で、番組終了間近までずっとアバレンジャー最大の難関として、彼らの行く手を何度も阻んだ。アバレンジャーの仲間というより「敵」としての印象が非常に強い、変わり種の追加戦士だった。
これらの他にも、歴代スーパー戦隊シリーズにおける「追加戦士」はさまざまに趣向を凝らした魅力的なキャラクター設定が与えられ、レギュラーメンバーと時にぶつかりあい、時に心を通わせながら、巨大な悪に立ち向かっていった。出身地や年齢、使命、立場などの"違い"を十分に活かし、レギュラーメンバーとの関係性を深めて悪の軍団に挑む「追加戦士」は、各作品それぞれに強い個性と魅力を有している。最新の追加戦士・キラメイシルバーにも、ファンからの大いなる期待が寄せられているのだ。
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