• 徳間書店「テレビランドカラーグラフ 恐竜戦隊ジュウレンジャー スーパー戦隊あらたなる戦士特集号」表紙(著者私物)

「スーパー戦隊シリーズ」では、ドラゴンレンジャー以前にも「新たなる戦士」が登場するケースが存在していたが、そのほとんどが「メンバー交代」にともなうものであった。

第1作『秘密戦隊ゴレンジャー』(1975年)では、国際的平和組織イーグルで訓練を積んでいた「ゴレンジャー予備軍」の中から、特に成績優秀だった熊野大五郎が抜擢され、イーグル九州支部の教官となった初代キレンジャー/大岩大太に代わって第55話から二代目キレンジャーを襲名している。

メンバー最年少で血気盛んなミドレンジャー/明日香健二よりも経験が少ないながら、何事にも物怖じしない堂々とした性格の熊野はまさしく体当たりでキレンジャーとしての任務をこなしていたが、第67話で黒十字軍のカンキリ仮面と戦った際、名誉の戦死を遂げている。4人になったゴレンジャーの危機は、急遽かけつけた大岩大太がふたたびキレンジャーとして返り咲いたことによって無事回避された。

他にも第3作『バトルフィーバーJ』(1979年)ではミスアメリカ/ダイアン・マーチンの負傷によって汀マリアに交代(第24話)、そしてバトルコサック/白石謙作が戦死したことで先輩の神誠に交代(第33話)と、1年間に2度のメンバー交代が行われた。

第5作『太陽戦隊サンバルカン』(1981年)ではバルイーグル/大鷲龍介が、そのパイロットとしての優れた技術を見込まれてNASAへと転任(第23話)し、新リーダーとして飛羽高之がバルイーグルを務めることになった。新バルイーグルは剣道を得意とする飛羽の持ち味を活かし、バルカンスティックを日本刀にチェンジさせ、華麗な剣技でブラックマグマを震え上がらせた。

第8作『超電子バイオマン』(1984年)では、イエローフォー/小泉ミカがバイオキラーガンによって命を失った(第10話)ことにより、アーチェリーの名手・矢吹ジュンが二代目イエローフォーとして活躍した。500年前に「バイオ粒子」を浴びた地球人の子孫というのがバイオマンになるための絶対条件なのだが、バイオロボが戦士を探し始めたときジュンがどうして見つからなかったのか、その理由として「アーチェリー練習のため海外に行っていたので、バイオ粒子反応を感知できなかった」と説明されている。

初期のスーパー戦隊シリーズは、複数の変身ヒーローが5人(4人、3人の場合も)でチームを組んで戦うフォーマットであるため、メンバーの「交代」はあっても「増員」が意識されることはそれほどなかった。

4人のサイボーグ戦士が活躍する『ジャッカー電撃隊』(第2作/1977年)では、第23話から行動隊長ビッグワン/番場壮吉が派手に登場し、新武器ビッグボンバーをひっさげてジャッカーのパワーアップに努めたのと、第12作『超獣戦隊ライブマン』(1988年)で3人のライブマンを助けるべく、ブラックバイソン/矢野鉄也とグリーンサイ/相川純一が新メンバーとして参加し、第30話以降は5人で武装頭脳軍ボルトと戦うことになったのが、数少ない「増員」のケースである。

「戦う司令官」ポジションとしては異例なほどの目立ち方をするビッグワン、そしてライブマンになる勇介、丈、めぐみの亡き友人(卓二と麻理)の弟たちが復讐のために変身したブラックバイソン、グリーンサイは「(常に行動を共にする)レギュラーメンバー」の増員であり、後のドラゴンレンジャーから始まる「追加戦士」の系譜とは一線を画している。

「変身する司令官(レギュラー)」=ビッグワンの後継キャラクターとしては、『特捜戦隊デカレンジャー』(2004年)のデカマスター/ドギー・クルーガーや『宇宙戦隊キュウレンジャー』(2017年)のリュウコマンダー/ショウ・ロンポー司令などが挙げられる。