現在、YouTubeの「ウルトラマン公式 ULTRAMAN OFFICIAL by TSUBURAYA PROD.」チャンネルでは、1980年に放送された円谷プロ製作のウルトラマンシリーズ『ウルトラマン80(エイティ)』を、毎週木曜日に1話ずつ配信(各話2週間限定)している。
2020年は、『ウルトラマン80』がTBS系にて放送を開始してから、ちょうど40年となる節目の年である。これまで『ウルトラマン80』は本放送のあと、ビデオソフト、LD(レーザーディスク)、DVDソフトなどがリリースされ、さらにはレンタルビデオやCS放送などでも多くのファンの目に触れる機会があったのだが、「毎週1エピソードずつリリースされる」というYouTube公式配信のスタイルは40年前の本放送を想起させ、また新鮮な気持ちで作品を楽しむことができるのかもしれない。
当時からのファンや、映像ソフトなどで『ウルトラマン80』が好きになったファンたちとは別に、今回のYouTube公式配信によって『ウルトラマン80』に初めて接する "新しいファン"が生まれているようだ。彼らは1980年に製作スタッフが作品に込めたメッセージ性や、フィルム撮影による珠玉の特撮シーンの素晴らしさなどを敏感に感じ取り、まったく新しい作品として受け入れているという。さすがは時代・世代の"壁"を超えてさまざまな人たちを魅了する「ウルトラマンシリーズ」。その器の大きさがうかがえるというものだ。
『ウルトラマン80』は、1980年4月2日から1981年3月25日まで、全50話を放送した円谷プロ・TBS製作の連続テレビドラマである。地球の平和を守る使命を帯びてM78星雲からやってきたウルトラマン80が、憎しみ、妬み、恨みといった人間の「マイナスエネルギー」から生まれた怪獣や、地球を狙う侵略宇宙人を迎え撃つ……というのが、毎回のストーリーフォーマット。ウルトラマン80に変身する青年・矢的猛が地球防衛を任務とする組織「UGM」の隊員であると同時に「中学校の教師」をしている点が、番組当初の大きな特徴だった。
『帰ってきたウルトラマン』(1971年)『ウルトラマンA』(1972年)『ウルトラマンタロウ』(1973年)『ウルトラマンレオ』(1974年)と続いてきた、いわゆる「第二期ウルトラマンシリーズ」が1975年で終了を迎え、第一期の『ウルトラQ』(1966年)『ウルトラマン』(1966年)『ウルトラセブン』(1967年)ともども「ウルトラマン」全体が過去のものになりかけたころ、かつて『Q』『マン』『セブン』を楽しんでいた世代が大人に成長し、ハイブロウな視点からウルトラマンシリーズの魅力について探ったムック「ファンタスティック・コレクション」を発表し、ふたたびウルトラマンとウルトラマンシリーズに熱い視線がそそがれるようになった。これが1978年のことである。
時を同じくして、小学館『てれびくん』誌上でも、現役の子どもたちにとって"未知"のヒーローであるウルトラマンや「ウルトラ兄弟」の大特集が組まれるようになったほか、テレビでも早朝や夕方にシリーズ各作品の再放送がひんぱんに行われ、新しくファンになった子どもたちを中心にウルトラマンシリーズの人気が盛り上がってきた。
ムック本のヒット、再放送の好視聴率に加えて、ポピー(現:バンダイ)が発売した『ウルトラマン』『ウルトラセブン』関連のメカニック商品や、怪獣ソフビ「キングザウルス」シリーズも人気となり、この勢いを受けてついにアニメーションによる新作テレビシリーズ『ザ★ウルトラマン』が1979年春から放送開始された。
『ザ★ウルトラマン』は、『ウルトラマン』の「怪獣出現→科学警備隊の戦い→ウルトラマン登場→勝利」といった黄金パターンを踏襲しつつ、アニメならではの優れたSFマインドを縦横無尽に駆使して作品世界のスケールをどんどん拡大していき、実写ウルトラマンのファン、およびSFアニメファンをも取り込んだ"ロマン"あふれる作風が持ち味となった。1年間にわたる『ザ★ウルトラマン』の健闘があったからこそ、満を持しての実写ウルトラマン"復活"が実現できたといえるだろう。