――仏教には夫婦以外の人間と肉体関係を持つことを戒める「不邪淫戒」の教えがありますね。たびたび芸能人の不倫が報じられますが、仏教の観点から不倫に対してどんな考えをお持ちですか?
芸人目線で言うと、男の芸人が結婚していても、少々女性と飲みに行くくらいは許してくださいと思っています(笑)。なぜなら、相手の女性もすごく楽しめるであろうから。Win-Winというやつです(笑)。
――芸能界だと、そういうお付き合いも必要なのかな…と思ったりします。
最近はね、「女遊びは芸の肥やし」と言えなくなってきているけれども、そこは一つ、今後もそちらでお願いしたい(笑)。Win-Winなので。
――今は新型コロナウイルスに対して不安を抱く人々が多いです。仏教では、こういった災厄に関して、どんな教えがあるのでしょう?
四苦(しく)というのがあって、生老病死。生まれること、老いること、病気になること、死ぬことというのが、四つの大きな苦しみで、そこにノミネートされているのが病ですから、そこはもう受け入れないと仕方ない。でも今、皆が予防しているから、いつも冬場は毎回、インフルエンザになったっていう人を聞いていたんですが、今年は周りでインフルエンザになった人を聞いていないんですよね。だから、やっぱり予防ってすごいなと思いました。
――買い占めなどで、思いやりを忘れた人の利己主義が露見することもありますよね。
仏教はとりあえず、みんな一緒だと。特に大乗仏教はそういう考え方なんですよね。人の苦しみは自分の苦しみであって、人の喜びも自分の喜びになる。みんな一緒だっていうような感覚で言ったら、自分だけがモノをためておこうという感覚にはならないですよね。皆がある程度、同じだけ、モノを食べることができてとか、皆が同じだけマスクを使うことができてとか、そういう感覚になるので、買い占めっていうのは、仏教的にはなかなか考えにくいですね。
――「みんな一緒」という意識は大事ですね。
考え方の一つの指針ですからね。聖徳太子がなぜ仏教を政治に取り入れたかったかと言ったら、十七条の憲法の一番最初に「和を以て貴しとなす」と言っているんですけど、仏教観で和って言うのは和やか。そういうものを、日本人一人一人、持っとかなあかん、それを尊いものとせな。ほんま、優しい教えやなと思います。
1974年12月25日生まれ。奈良県出身。吉本興業所属。2000年7月に相方の西田幸治と笑い飯を結成。Wボケ漫才で繰り出す個性的なネタを武器に『M-1グランプリ』決勝に9度進出し、ラストチャンスとなった2010年に悲願の初優勝を果たし、全国区の知名度を獲得。これまでに仏教関連の本では『えてこでもわかる 笑い飯哲夫訳 般若心経』『ブッダも笑う仏教のはなし』などを出版