いよいよきょう8日からレギュラー放送がスタートする日本テレビ系バラエティ番組『有吉の壁』(毎週水曜19:00~ ※初回2時間SP)。“純度100%のお笑い番組”を掲げながら、近年は情報性の高い番組が編成される傾向にある“平日夜7時台”にチャレンジすることでも、注目を集めている。

そんな同番組の魅力や期待、そしてあえてこの時間帯で放送することの意義を、総合演出の橋本和明氏に聞いた――。

  • 『有吉の壁』アシスタントの佐藤栞里(左)とMCの有吉弘行 (C)NTV

    『有吉の壁』アシスタントの佐藤栞里(左)とMCの有吉弘行 (C)NTV

■「街でコントをやろう」の発想

番組が始まった2015年当時、“お笑い第7世代”なんて言葉は当然なく、現在ほどお笑いが盛り上がっていない時期だった。そんな中で、『有吉ゼミ』も担当している橋本氏は「有吉さんと『そろそろお笑いをやりたいですね』という話で盛り上がって、企画を作りましょうという形で誕生しました。だから、最初から、有吉さんの思いが大きい企画なんです」と経緯を明かす。

この番組の看板企画といえば、一般人に溶け込みながら面白い人を演じる即興ネタを披露する「一般人の壁」。しかし、特番初回の放送ではトップでなく、2つ目のコーナーだった。

「深夜番組でセット費を考えるとコントは作れないので、『街でコントをやろう』というのがもともとの発想だったんですが、頭に持ってくるほどの自信はなかったんです。ロケをやってるときも、我々も芸人さんも手探りで、『これ、合ってるの?』という感じでした(笑)」

とにかく明るい安村

そんな空気を変えたのが、とにかく明るい安村だった。散髪屋がバリカンに失敗したという設定で、おでこから頭頂部まで剃り上げられた姿を披露したのだ。今や同番組の名物となっている安村の“バリカンネタ”だが、「あのとき、“普通の番組では見られないものが撮れてる”という高揚感が現場であったんです。深夜の番組なのに、芸人さんが本気を出してくれて、その覚悟が見えた大きな事件でした」と振り返る。

放送されると、視聴率も好調だったが、「それよりもネットの反応がすごかったんです。皆さんが『なんか変な番組やってるぞ』ってTwitterでつぶやいてくれているのを見て、間違ってないんだと感じました」。

■レギュラー化で“ストーリー”に期待

レギュラー初回の「一般人の壁」の舞台は、特番初回と同じ、熱海の商店街だ。レギュラー化が決まったことを橋本氏がツイートすると、熱海市の番組ロケ担当アカウントが「おめでとうございます! 何年経ちましても、スタッフ皆様のお顔、演者様のこと、記憶に残っています」と返信をくれたことから、「やっぱり1回目は熱海がいいんじゃないかということで決まりました」と、原点の“聖地”がロケ地に選ばれた。

もちろん、安村は今回も参戦。再び、あの散髪屋とネタを披露することになるのか…というように、レギュラー化によって芸人たちの“ストーリー”がより濃く展開されることになる。

「これが一番のメリットだと思います。『有吉ゼミ』でも、ワタリ119が激辛グルメで頑張ってレギュラーになったり、ジェシーが八王子リホームでヒロミさんに認められて正社員になったり、1年~2年単位で愛される番組というのはストーリーがあって、そこに視聴者の気持ちが乗っかって応援してくれることが大事なのかと。今回も、大喜利で有吉さんが見つけてくれた“パンサー尾形vsワタリ”という対決があるんですけど、この関係が今後ストーリーになっていって、いつか2人で仲良くハイテンションなネタをやってもいいですよね(笑)。だから、ずっと見ていたら『こんな楽しいことがあるんだ』と追ってもらえるような番組が理想です」