ブルーインパルスがテイクオフ!
鳴瀬奥松島TB(本線料金所)を過ぎると、復興道路(三陸自動車道)の無料区間が始まる。矢本ICで高速を降り、航空自衛隊松島基地付近に到着したのは午前8時半ごろ。基地周辺ではすでに渋滞ができ始めていて、宮城県警のパトカーや白バイが「この付近の道路は駐車禁止です。速やかに移動してください!」と連呼しながら巡回中だった。
コンビニやホームセンターの広い駐車場はすでに、地元だけでなく他府県ナンバーのクルマであふれている。S124は、農作業をしていた田んぼの所有者のご厚意でそのあぜ道に止めさせていただき、事なきを得た。その一部は狭く荒れたアクセス道路だったが、ここでもクロスクライメートは安心感のあるグリップを示してくれた。
ブルーインパルスの撮影ポイントには、前夜から場所取りをしていたという多くの“つわもの”たちが。基地近くには、ブルーインパルスカラーのルノー「カングー」が止められていて、フライトのGOサインが出るまでの長い待機時間には、カメラ小僧たちの格好の被写体になっていた。
携帯アプリの「フライトレーダー24」でチェックすると、聖火をアテネから運んできたJA837便は到着を早めるため、すでに佐渡島沖の日本海を飛行中。午前9時半には、強風をものともせず機首を極端に右斜めに向けながらアプローチし、大観衆が見守る中、見事一発でランディングを決めた。
一方、目当てのブルーインパルスは、当初のフライト予定時刻だった11時を過ぎてもタキシングを始めないので皆をヤキモキさせてくれたが、20分ほど過ぎたころには、気持ちのいい爆音を轟かせて全12機が一斉に離陸した。地元テレビ局のスタッフに聞くと、強風で新幹線が止まってしまい、五輪相らが遅刻した影響でテイクオフが遅れたのだという。
11時41分。隣のマニアが手にしていた航空無線から、隊長機から発せられた「ナウ!」という掛け声が聞こえた。上空で旋回待機していた編隊は、それを合図に五輪の輪(オリンピックシンボル)を空に描き始めたが、スモークは吐き出されるやいなや強風に吹き飛ばされてしまい、残念な結果に。直後に披露した「リーダーズベネフィット」(五色カラーの直線飛行)は見事にコンプリートしたものの、地上ではその後の聖火着火式でも点火に苦労したとのことで、今回の東京五輪の行末を暗示するようなトラブル続きのイベントとなった。
イベント終了後の渋滞を抜け、近くのガソリンスタンドでハイオクガソリン43.82リッターを給油。ここまでの走行距離は466キロだったので、簡易満タン法で計算すると、燃費はリッター10.63キロとなった。強烈な向かい風の中での走行が多かったので、さすがに数値は伸びなかったようだ。