――出演者の魅力についてお伺いします。今回の松下奈緒さんはこんなに苦しんでいる姿は見たことがないというくらい、これまでにないキャラクターを見せてくれていますが、現場ではどんな印象ですか?
まず、お芝居に取り組む真摯(しんし)さに頭が下がります。容姿端麗、頭脳明晰はイメージ通りですが、それに加えてとても気さくで柔軟な考えをなさる方です。だから制作現場で一緒にモノ作りするのがとにかく楽しいです。
――それが画面からも伝わってくるので、だからこそ第6話のラストで薫先生に「消えて」と言うシーンはすごくショッキングでした。これまでと違ったキャラクターというのは意識したんですか?
聖人君子なだけの医者を描こうとしてるわけではありません。最初にもお話ししたように、“人となり”の影もあれば毒もある人間の姿を描いています。なので、違ったキャラクターという意識は全くありません。
■後半戦の主軸は…
――薫先生役の木村佳乃さんもかなり苦しめられる役ですよね。木村さんの印象はいかがですか?
佳乃さんは現場で演じた感覚をとても大事にされている印象です。ドラマ立ち上げの1~2話は、ディスカッションを重ねながら取り組んできましたが、今は薫として完成しているので、動きもセリフもご本人が一度、身体を通してみて感じたものをご提案くださいます。
松下さんに対しては、少しだけ引く作業をさせていただいている程度です。患者さんが医師の圧を感じないように、あえてセリフにあまり感情を乗せ過ぎないようにとか、目線の送り方とかに気を配るようにしています。あとは2人のバランスを調整していくくらいのことしか私はやっていないです。おのおのがすぐに役を浸透させてくださったので、すごく助けていただいています。
――いろいろお話を聞かせていただきありがとうございました。最後に、今後の見どころを教えてください。
やはり心先生と薫先生のこれからと、高畑(淳子)さんが演じる民代さんなど、患者さんとのお話をラストに向けてより深めていければと思っています。中盤まではサスペンスの要素もありましたが、やはり主軸にあるのはあの2人の生き様と、患者さんの人生にどう向き合っていくのかということ。後半戦はその部分に時間を割き、強化していきます。ご期待ください。
――個人的には若い乳がん患者の佐倉さん(小川紗良)と結城先生(清原翔)の今後も気になります。
そこが気になるっておっしゃる方、多いんですよね(笑)。ただ今、絶賛撮影中です。2人の行く末も楽しみにしていてください。
●高野舞
1980年生まれ、静岡県出身。慶應義塾大学在学中には、柔道で全日本の強化選手にも選ばれた。卒業後、04年フジテレビジョンに入社し、ドラマ制作を担当。これまでの主な演出作品は『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』『いつかこの恋を思い出してきっと泣いてしまう』『隣の家族は青く見える』など。