地位や能力の差などを盾にした嫌がらせを行うハラスメント。男女を問わず性的な嫌がらせを行うセクシャルハラスメント(セクハラ)は広く知られていますが、そのほかにも多くのハラスメントが存在します。

ハラスメントが行われるのは職場だけではありません。今回は、さまざまなシーンで起こり得るハラスメントをご紹介します。

職場で起こるハラスメント

アルハラやモラハラなど、職場の人間関係が原因で起こるハラスメントは多岐にわたります。悪意がなくても加害者になっていることもあるので、ハラスメントの原因と対処法を確認しておきましょう。

アルコールハラスメント(アルハラ)

アルハラは、立場の強い人が弱い立場の人に対してアルコール類を飲むように強制する行為です。飲み会で上司にお酒をすすめられたら、なかなか断りにくいもの。

なお、宴席などでお酒以外に飲み物を用意せず、選択肢をアルコール類だけにしてしまう行為もアルハラになります。

エアーハラスメント(エアハラ)

エアコンの温度設定や使用環境による嫌がらせがエアハラです。節電を理由にエアコンの設定温度を必要以上に高くしたり、寒がる同僚の声を無視して設定温度を下げたりする行為は明らかなエアハラです。

適切と感じる温度設定には個人差があるので、温度設定のルールを決めるなどしてトラブルを防ぎましょう。

エイジハラスメント(エイハラ)

「もういい歳なんだから」「まだ若いからわからないだろう」などのように、年齢だけで判断する発言がエイハラです。役職や未婚・既婚を年齢基準で決めるような言動は避けましょう。なお、エイハラは立場に関係なく加害者になる可能性があるので注意が必要です。

スメルハラスメント(スメハラ)

体臭や口臭で職場の環境を悪化させる行為がスメハラです。香水や柔軟剤のにおいもスメハラの原因になります。スメハラは本人に自覚がないケースが多く、デリケートな問題なので、解決には丁寧な対応が求められます。

自分のにおいはなかなか気がつきにくいもの。スメハラの原因にならないためにも、日頃から香水や柔軟剤の使用量には気をつけたいところです。

テクノロジーハラスメント(テクハラ)

パソコンなどのIT機器をうまく扱えない人に対する嫌がらせがテクハラです。立場を問わず行われるのが特徴で、若い世代から中高年へのテクハラも珍しくありません。

専門用語の多用もテクハラになるので、機器の扱いを説明するときには、わかりやすい言葉を使いましょう。

モラルハラスメント(モラハラ)

言動による精神的な嫌がらせがモラハラです。「職場で孤立させる」「無視をする」「陰口を言う」「遠回しに退職を促す」などの行為はモラハラにあたります。

なお、モラハラは立場上の優位性が原因になるので、夫婦間でも起こり得ます。精神的苦痛が続くとうつ病になってしまう可能性もあるので、モラハラを受けていると感じたら、医師や弁護士に相談するなどの対策をしましょう。

マリッジハラスメント(マリハラ)

独身者の結婚や交際を執拗に詮索する行為がマリハラです。「どうして結婚しないの?」「いい人紹介するよ」などの発言で、相手が不快感を覚えればマリハラになります。

親切心だったとしても、相手にしてみれば「ただのお節介」と感じるかもしれません。「結婚適齢期」や「その年齢なら結婚していて普通」といった概念を捨てなければ、自覚のないうちに加害者になる可能性があります。

カラオケハラスメント(カラハラ)

職務上の立場などを利用して、嫌がる人に無理やり歌を歌わせる行為がカラハラです。強制的にカラオケ店へ誘う行為もカラハラに含まれます。

「人前で歌うのは恥ずかしい」と感じている人は少なくありません。たとえ仕事上の付き合いだったとしても、歌の強制は避けましょう。

ジェンダーハラスメント(ジェンハラ)

性別に対する偏見や嫌がらせがジェンハラです。「男のくせに~」や「女のくせに~」のような発言はジェンハラになります。

価値観の多様化で常識が変わりつつあるなか、個人の考えを一方的に押し付ける行為として問題視されるようになってきました。なお、女性上司が男性部下に対して行った場合はパワハラも伴います。

パタニティハラスメント(パタハラ)

育児休暇や育児参加制度などを申請した男性に対する嫌がらせ行為がパタハラです。男女を問わず育児に参加する家庭が増える一方で、男性の育児に理解の浅い人も存在します。

パタハラを受けた男性は育児休暇の利用を断念するケースが多いので、職場全体の意識改革が必要でしょう。