池田伸子アナがサービス紹介。若者のTV離れは止められる?
体験会には「ニュース7」に出演している池田伸子アナウンサーが登場し、サービス開始前にNHKプラスを1週間ほど試した印象を話ってくれました。
試用中は主に公共交通機関による移動中や、自宅のテレビがないベッドルームなどで使い勝手を試したという池田さん。「移動中にも手軽にドラマが見られたり、ニュース番組はハッシュタグを起点に関心のあるテーマを選んで、日を追いながら内容を追えるのが便利だった」といいます。
関心のある動画はピンポイントで検索しなければならなかった従来のオンデマンド配信に比べて、アプリを開くと常時同時配信の画面がトップに並ぶNHKプラスであれば関心の幅が広げられる、とも語っていました。移動中の利用は特に目立った映像の途切れやノイズが発生することもなく快適に使うことができたそうです。
国内では特に若い世代を中心にテレビ離れが進んでいると言われています。NHKが放送する話題のドラマやスポーツ、エンターテインメント系の番組が、NHKプラスによって場所や時間の制約を受けずに見られるようになり、またニュース番組もネットで情報を集める感覚で活用できるようになれば、若年層に限らず広く受け入れられそうです。今年は大きなスポーツイベントが開催予定なので、日中はオフィスで働くビジネスパーソンにとってもNHKプラスは強い味方になると思います。
また、5Gの商用化が始まればモバイル回線環境も整備され、個人が大容量のデータ通信をより手軽に利用できるとも言われています。とはいえ、やはり無駄なデータ通信の消費は避けたいもの。NHKプラスのコンテンツもより高画質な映像がデータ消費を気にせず楽しめるようになるとよいのですが、端末にキャッシュ(一時ダウンロード)する機能はありません。
説明員に聞くと、ダウンロード利用を実現するとなると、ストリーミング配信とまた別に番組の権利確保を整備する必要がでてくるため、直近での実現は難しそうでした。このあたりは、リッチコンテンツをダウンロードして見られるNetflixやAmazonプライム・ビデオとの差として、ユーザーにとって不便に感じられないか気がかりです。
NHKプラスは2019年に改正放送法が成立したことを受けて実現したサービスです。今後5Gが本格的に展開されれば、モバイル向けの動画配信は国内の民放各社も力を入れてくるものと思います。インターネットを活用したテレビ番組の見逃し視聴サービスには、「TVer(ティーバー)」がすでにありますが、個別の放送事業者が通信キャリアなどのパートナーを得て、さらにリッチな動画配信サービスを共同製作・提供するケースも今後増えてくるでしょう。
動画配信を「放送の補完業務」として、利用者に追加負担を求めることなく提供できるNHKに対して、おそらくは有料のサービスモデルを検討しなければならない民放各社、そして地方に拠点を置くローカル放送局が、どれほどリッチなコンテンツを揃えながら対抗して行けるのか、今後の動向に注目です。