アッセンブリーと仕上げの行程を見学
工場を紹介してくれた人材雇用および組織化担当のアルベルト・フェラロット氏によると、「ランボルギーニ社の人材構成は、ホワイトカラーが35%、ブルーカラーが65%で、女性はそのうち20%を占めています。工場で働く1,800人のほとんどは近隣地域に住んでいますが、技術者などの中には、トリノから単身赴任しているスタッフもいます。カーボンコンポジット部門の担当者は、最初の2年間はF1でお馴染みのダラーラ社でみっちりと勉強し、専門家になってから会社に戻ってきます。そして、工場の各部門には教官がいて、若い工員を教育しながらクルマを作っています」とのことだった。
ウルスの好調な販売状況に応じて、2018年に面積を2倍の16万平方メートルに拡大した工場内で働く従業員さんにも話を聞いてみた。巨大なカーボンブレーキの組み付けを担当する31歳のフランチェスカさんは「ランボで働き始めてまだ1年。ここに採用されたことをとても誇りに思っています。おかげで生活が変わったし、仕事もとても楽しいです」という。工場に誇りを持つ彼のような若い工員さんは数多くいて、教官とペアで仕事をする様子が、エンジンの組み付けやパーツの隙間のチェックといった工程のあちこちで見られた。また、シートの作成部門には女性が数多く採用されており、ミシンを使ったり、手作業で表皮を組み付けたりする丁寧な作業状況を確認することができた。
筆者に面白い質問をしてくれたのは、ポリッシュでボディを磨き上げる最終工程の担当者で、「日本では紫や白が人気のようだけど、なぜなんだい?」というもの。「日本では千数百年前の地位を表す制度で“冠位十二階”というものがあって、そのトップが着ける冠の色が紫だった。つまり、最も高貴な色だったということで、今でも人気がある。また、白は神様に使える人の衣装の色であったり、花嫁衣装に使われたりする色で、神聖や純潔を表す日本人が最も好きな色なんだ」と説明しておいた。
工場見学を終えて外に出ると、広い駐車スペースには白いカバーを取り付けて出荷を待つアヴェンタドール、ウラカン、ウルスがずらり。まだまだランボ人気が続いていることを示していた。