――元木さんが高尾ノエル役で出演されていた『ルパパト』は放送終了から1年が経っているにも関わらず、根強い人気を保っているようです。元木さんが思う『ルパパト』の魅力についてお聞かせください。
歴代の「スーパー戦隊」と違って、『ルパパト』では快盗チームと警察チームという“真逆”のメンバーがいっしょになっています。これって、すごく新しいことだなって思っていました。ルパンレッドの(伊藤)あさひはスラッとした“今風”のルックスで、パトレン1号の(結木)滉星は眉毛がキリリとして“古風”な正統派ヒーローだったでしょう。対照的なチームがぶつかりあうことで、足し算じゃなくて掛け算に……より複雑で見ごたえのあるドラマが生まれましたよね。「ギャラクシー賞(放送批評家懇談会)」をいただいた(2019年2月度テレビ部門月間賞)のも、魅力的なキャラクターたちのドラマがしっかり描かれて、今まで「スーパー戦隊シリーズ」を知らなかった人たちが『ルパパト』を観てみようとか、思ってくれたことが重要だったと思います。
――対照的な快盗と国際警察の“両方”とつながっている特殊なポジションの高尾ノエルが登場したことにより、『ルパパト』のストーリーがさらに複雑化して面白くなっていきました。改めて、ノエルという役柄についてのご感想をお願いします。
ノエルを演じていつも思っていたのは「めんどくさいやつだなあ」って(笑)。僕はどちらかというと、言いたいことを隠さずに全部言うタイプなんですけど、ノエルは反対なんです。彼は「いまこの人にこんなことを言うと、傷つけてしまうかもしれない。だから裏でこう動こう」とか考えてしまう。つかさがギャングラーを信じる話(#31「自首してきたギャングラー」)なんて、まさにそんなノエルの不器用な行動が出ているエピソードでした。つかさにはっきりと言えばいいのに、回りくどい動き方をしてしまう。そういったところに愛着がわき、魅力的な人物像となりましたね。
――あえて元木さんとノエルとの共通点を挙げるとしたら、どこですか?
どんなことでも華麗にこなしてしまう、って部分ですかね。 ……というのは冗談ですが(笑)もちろん何事も最初から出来るものではありませんから、人の見ていないところで一生懸命練習をし、経験を積み重ねた上でパフォーマンスを発揮するという点で、僕と通じる部分はあると思っています。
――元木さんの抜群の身体能力で披露される得意のアクロバットアクションが、ノエルの華麗さをいっそう引き立たせていた印象ですね。
ノエルはあんなに動きまわる人物になっていなかったかもしれませんね。僕が得意な部分を活かした役にして頂いて感謝しています! ルパンエックス、パトレンエックスのスーツアクターも“動ける”シゲさん(伊藤茂騎)が演じてくださって、イメージを合わせてくれました。
――元木さんは2018年6月12日、夏の劇場版『快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー en film』制作発表会見で初めてマスコミの前に登場されたとき、いきなりバク宙を披露しましたし、2019年春の「ファイナルライブツアー」各地会場でもキャラソンを歌いながらステージの端から端まで連続バク転して、会場を沸かせていました。
ファイナルのときは全ステージ、バク転やっていましたね。仲間たちはみんな引いていましたよ。劇中でノエルが「人間じゃない、異世界の住人だ」って言われてたけど、聖也も一緒だって(笑)。
――ファイナルライブツアーは全国数か所いずれも大盛況だったとうかがっています。仲間と共に全国を回られたご感想を改めてお聞かせください。
ファイナルライブツアーには大切な思い出が詰まっています。もともとテレビシリーズの撮影のときからみんなといい関係が築けていましたが、テレビの撮影が終わってからのGロッソ公演やファイナルライブでは7人がずっと一緒に行動していましたからね。みんなで食事して、ステージをこなして、また食事に行くとか。ほんとうにみんないい奴ばかりですから、ファイナルライブツアーのおかげでそれぞれの関係がより深まった印象です。
大阪で行った最終公演は2日間でしたよね。1日目の終わりにマイナビニュースさんの企画で、7人が『ルパパト』で過ごした日々を振り返るってやったじゃないですか。あのとき最後にあさひと滉星がみんなにメッセージを読み上げてくれて……めちゃめちゃ泣きましたね(笑)。おかげさまで次の日の最終日は目がはれてたいへんだったのですが、あそこまで感動して泣けたというのは、みんなそれまで頑張ってきた証だと思うんです。
『ルパパト』に限らずどの「スーパー戦隊」でも一緒だとは思うんですが、僕たちキャストはスタッフさんたちと仲良くさせていただいていたんです。ものをつくるときの「達成感」ってあるでしょう。どんなお仕事でもそうなんでしょうけど、ふだん辛いことがあった分思い入れが強いと思います。寒い中、朝早く集まってロケに行って、アフレコとかもあって、終わってもまた次の台本を覚えないといけなくて……、みんなで頑張って撮影をして、ファンの方々から大きな反響もいただいて、いろいろな思いが最終日にはぜんぶよみがえって、とても感動しましたね。
――最終日の前半のアクションショーでは、結木さんから「最後は好きな言葉でシメてくれ!」と任された元木さんが「アルセーヌ、最高の仲間と出逢えたよ! Salut(またね)!」と叫ばれたとき、ファンから大きな歓声が上がったのが印象に残っています。
あれは滉星が急に言ってきたので、アドリブで発したセリフなんですが……ノエルの言葉である一方、僕自身の気持ちでもありました。役を演じているときはあまり自分を出してはいけないんですけど、あの場合ならいいかなって。そのほうがステキですし、ノエルと僕のシンクロ具合がハンパなかったですからね。あの言葉はまさに、ノエルの集大成だといえるでしょう。
――ノエルと“Wレッド”の「ぬいぐるみセット」や、キャラクターボイス入りの変身アイテム(VSチェンジャー&VSビークル)「快盗戦隊ルパンレンジャーVS警察戦隊パトレンジャー -VS MEMORIAL SET-」といった新商品が発売されるなど、2020年に入ってなお『ルパパト』の勢いはとどまることを知りませんね。
お正月にはBSで『ルパパト』の一挙放送があったりしましたね。放送されるよって情報が出た段階でTwitterの話題を集めたり、未だに多くのファンの方たちが『ルパパト』を応援してくれているんだなあって思うと、とてもうれしいです。リクエストがあるからこそ、一挙放送が実現したり、玩具が発売されたりするんですからね。求めている人たちがいないと、ぬいぐるみなんて新たに実現なんてしないですし、ありがたいとしかないです。