――公募によるエキストラのみなさんを交えた撮影があったとうかがっていますが、どのような場面でしょうか?

地下シェルターで避難している群衆シーンと、飛電インテリジェンスで株主総会が開かれるシーンです。特に大変だったのは株主総会で、あの日は撮影日程を2日間取っていたのが、超大型台風の影響によって1日になってしまったんです。そのため、1日で撮り切らなければならない分量がすごいものになったんですが、エキストラのみなさんがとても協力的にやってくださり、スムーズに進行することができました。

シーンとしてはかなり重たい局面で、高橋くんも鶴嶋さんも勝負をかけていた部分がありましたけど、みなさんがすばらしい演技をしてくださったため、すごく良い画が撮れました。本当に、エキストラのみなさんには助けられました。みなさんの「仮面ライダー」に向けた愛情の強さは、きっとスクリーンから観客席にまで伝わってくれるんじゃないかと思います。

――或人の魅力のひとつに、どんなに重い状況でも「一発ギャグ」をものすごいハイテンションで決める根っからの明るさがあります。あのギャグ演出はどのようにされているのでしょうか?

第1、2話でギャグを披露するときに高橋くんに言ったのは「後悔のないよう全力でやりなさい」ってことでした(笑)。中途半端にやって「失敗したかな」と後になって思うくらいなら、最初から全力でやろう!ということです。また「後悔のないように」というのは、僕自身に言い聞かせている言葉でもあるんです。ここはこんなところでいいか、みたいな妥協ができない性分なので、すべてのシーンでやり残しや後悔がないよう、全力で挑まなければならない。そんな気構えを僕や高橋くんが備えていれば、絶対にいい作品ができると信じています。

――改めまして、今回の映画の「テーマ」を教えてください。

テーマは「夢」です。テレビシリーズ第1話からずっと或人が口にしていた「世の中の人を笑わせたい」という夢がいったいどこから来たものか、が映画で描かれます。そして「仮面ライダーとは何か」というのも、テーマのひとつです。今後、或人が仮面ライダーとしてやっていくための心がまえといいますか、ジオウと出会うことによっていろいろな影響を受けたゼロワンがどのように成長していくか、にも注目してもらいたいです。

――映画のあと、杉原監督はまたテレビシリーズの演出に参加される予定はありますか?

すでに次にやるエピソードの撮影に取り掛かっています。映画を経験したことで、高橋くん、鶴嶋さんに関しては芝居にいっそうの深みが出てきたと思っています。高橋くんが令和最初の仮面ライダーで、本当によかったです。頼もしく思っていますし、今後の飛躍にも期待しています。

――最後に、杉原監督からファンのみなさんに映画のおすすめポイントをお願いします。

全編にわたって画から伝わる迫力があると思います。画面作りには、ものすごくこだわりました。派手なビジュアルだけじゃなくて、人間同士の芝居、ドラマ部分がしっかりと印象付けられているのではないでしょうか。言うなれば、すべてが見どころです! 端から端までじっくりとご覧になってください。

幅広い年齢層の方々が観ても面白くなるよう、一切手を抜いたところがありません。映画館で、ご自分の好きなキャラクター、好きなシーンを探してもらえればうれしいです。キャストやスタッフ全員の持つ"熱量"を、うまく画面に封じ込められたのではないかと実感しています。映画の終わり=エピローグにも「爆弾」的なものを仕掛けていますので、ぜひとも映画を存分にお楽しみください。

「ゼロワン/ジオウ」製作委員会 (C)石森プロ・テレビ朝日・ADK EM・東映