――今回のウォズを渡邊さんはどのように演じようと思われましたか。

本来ならばテレビシリーズの最終回で、普通の高校生になったソウゴを見守るといった感情を持ちこむべきなんでしょうけれど、そうなると少し変かなと思って、まったくその感情がないわけではないですが、少しその部分を薄めてみました。テレビシリーズでいえば第31~40話のころ、クジゴジ堂でソウゴたちと一緒に暮らしている「人間味のあるウォズ」のイメージでやれたらいいなと思いました。

――ゲイツやツクヨミとの関係性についてはいかがですか?

もともと彼らはウォズにとって「レジスタンスの愛すべき部下」という認識があります。そういった思いを秘めつつも、お互いに感情を素直に出し合えるキャラクターではないので、わざと憎まれ口をきいてゲイツといがみあったりします。ツクヨミからキツいツッコミを入れられるのも、僕たち3人ならではのコミュニケーションだと思っています。映画をご覧になるみなさんもゲイツやツクヨミと絡んでいるウォズを見て「ここはいつものウォズだな」と思って、楽しんでくだされば嬉しいですね。

――映画でのウォズの役割については、テレビシリーズからどんな変化がありますか。

この映画は、良い意味でウォズがウォズとしての役割を"失った"映画なんじゃないでしょうか。本来ウォズがなすべき役割がないといいますか、ソウゴの行動力を認め、ついていく「従者」としてのウォズが見られると思います。腹の中に何かを隠し持っているなんてこともなく、常に魔王の横で跪いている、ストレートな家来のウォズが描かれます。これまでは物語の環から外れたところに存在していたウォズが、とてもナチュラルに物語の登場人物のひとりになれたかな……という気がします。

――仮面ライダーウォズに変身して敵と戦うウォズですが、映画では変身前のウォズ自身もツクヨミやゲイツと同じく激しいアクションシーンがあるそうですね。

ありますね。素面でのアクションはなかなかテレビではできなかったので、ぜひ映画でウォズの戦いぶりを見ていただきたいです。かつてレジスタンスの戦士として戦っていたころのウォズの姿が浮かんでくるかもしれません。アクションはとても楽しかったです。自分で経験したことによって、スーツアクターさんが毎回どれだけ凄い動きをされていたのか、ひしひしと感じることができました。「仮面ライダー」の現場の中で、また新しい勉強をさせてもらった思いです。

――『ジオウ』テレビシリーズで「アギト編(第31、32話)」を手がけられ、本作のメガホンを取られた杉原輝昭監督の印象はいかがですか。

杉原監督は最初から最後までずっと気合いが入っていました。自分が納得するカットが撮れないと、ぜったいにOKを出さない。そういった監督の熱意が、演じる側にもすごく伝わってきました。なかなかOKにならないからこそ、OKをもらったときのうれしさはとても大きいものでした。

僕たちは常に全力で演技をしているのですが、それらの芝居が監督の頭の中の「画」にフィットしたときに初めてOKとなり、それがとても気持ちいいなと思いました。監督の思い描くことをカメラの倉田(幸治)さんをはじめとするスタッフたちが共有して、何回も「こういう画を撮るぞ」と確認し、試行錯誤もしながら取り組まれ、とてもいい映像を作り上げてくださいました。本当に、映画の公開が今から待ち遠しいです。ぜひたくさんのファンの方に観ていただきたいですね。

――渡邊さんは『ジオウ』テレビシリーズで従来のウォズ(黒ウォズ)とは別の存在の「白ウォズ」を演じ、対照的な両者の演じ分けが好評でしたが、『ファイナルステージ』のショーではさらなる別キャラクター「赤ウォズ」が出てきて、ファンの間で話題を集めましたね。

赤ウォズはショーの台本を書かれた毛利(亘宏)さんが創造したキャラクターなんです。テレビシリーズの打ち上げパーティーの席で毛利さんが僕に「赤ウォズというのを出すからね」と教えてくださってから、ずっと気にはなっていました(笑)。黒でも白でもない赤ウォズという新しいキャラクターを作るため、最初の段階で僕がかなり"振り切った"芝居をしたのですが、これが見事にNGとなり、結局は少しセリフ回しを「黒」に寄せつつ、印象を変えるように演技をしました。ツクヨミを「我が女王」と呼んで仕えるといった面白い役柄で、やっていて楽しかったです。