PCMark 10 v2.0.2144(グラフ44~47)
UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10
一応お約束でこちらも。まずOverall(グラフ44)で見ると、大きな差はなさそうに見える。ただTest Group(グラフ45)で見ると、なぜかProductivityでRadeon RX 5500 XTが低めになっている。何が問題か?ということでTest Detail(グラフ46)を見ると、SpreadsheetsとVideo Editingで妙に落ち込んでいるのが判る。これ、要するにOpenCLのテストが軒並み低い結果になっているという話である。これは今回が初めてではなく、Radeon RX 5700の時にも出ていた話である。実際の利用時に影響があるか?と言われれば、OpenCLを使う場合には影響はあるだろうが、逆にそれが無ければまず関係ないというところだろう。実際、OpenCLを利用しないApplication Testの結果(グラフ47)を見ると、ほぼ同じになっているのが判る。
消費電力(グラフ48~53)
最後が消費電力である。3DMark Firestrike Demo(グラフ48)、SuperPosition 2K Benchmark(グラフ49)、F1 2019 2K Benchmark(グラフ50)、及びFinal Fantasy XVベンチマーク 2K(グラフ51)の結果から、稼働中の平均値をとった結果がグラフ52、そこから待機時の消費電力との差を取ったのがグラフ53となる。
とりあえず圧倒的に消費電力が少ないのが、GeForce GTX 1650 Superである。TDP 100Wという数字は嘘ではないようで、明確に他と比べても消費電力は少ない。まぁその分性能面で多少ビハインドが生じているのは、バランスを考えると致し方ないだろう。
問題はRadeon RX 5500 XTの消費電力で、GeForce GTX 1660並み(FireStrike Demo/Final Fantasy XV Benchmark)とより少ないケース(F1 2019)、より多いケース(SuperPosition)が混在している。実際平均差(グラフ53)を見ると、FireStrike/SuperPositionではGeForce GTX 1660を若干(10Wほど)上回り、逆にF1 2019やFinal Fantasy XV Benchmarkでは若干(10Wほど)下回る、ということで、概ね120WのTDPとされるGeForce GTX 1660と同程度と見なしてよいのではないかと思う。実際グラフ51を見ると、GeForce GTX 1660がピークでは350W近い消費電力なのに対し、Radeon RX 5500 XTは300W程度に収まっており、むしろ消費電力変動が少なくて扱いやすいと言えるかもしれない。
考察
ということで駆け足でご紹介してきたが、
- GeForce GTX 1650 Superは、確かにGeForce GTX 1650よりは性能は上がっているかもしれないが、2K Gamingと言うにはちょっと力不足のシーンも見られる。ただし価格と消費電力の低さは魅力的。
- Radeon RX 5500 XTは総じてGeForce GTX 1650 Superよりは若干高い性能ではあるが、GeForce GTX 1660に並ぶというのは言い過ぎで、それよりちょっと落ちる程度の性能レンジにある。丁度GeForce GTX 1650 SuperとGeForce GTX 1660 Superの中間、というのが一番正しい評価だろう。
- VRAMの8GB版は、確かに性能面で改善が見られる。ただしそのメリットを2Kで常に享受できるわけではない。
といったあたりがまとめになるかと思う。 となると問題は、Radeon RX 5500 XTの価格である。原稿執筆時点(12月11日午前3時)におけるamazonの価格で言えば、
GeForce GTX 1650 Super ¥22,000~¥25,000
GeForce GTX 1660 ¥24,000~¥28,000
GeForce GTX 1660 Super ¥27.000~¥35,000
といった価格で販売されている。性能で考えれば、
Radeon RX 5500 XT 4GB版 ¥23,000前後
Radeon RX 5500 XT 8GB版 ¥26,000前後
であれば十分お買い得というか競争力があると思われる。Radeon RX 5700の時で言えば
Radeon RX 5700 : $349 / ¥45,900 = ¥131.5/$
Radeon RX 5700 XT: $399 / ¥51,300 = ¥128.6/$
ということで換算レートは概ね\130/$あたり。これを冒頭の価格に当てはめると
Radeon RX 5500 XT 4GB: $169 ≒ ¥22,000
Radeon RX 5700 XT 8GB: $199 ≒ ¥26,000
ということになり、大体辻褄はあう感じで、あとは実際の市場価格がいくらになるか、というあたりだ。
それにしても、AMDとNVIDIAがお互いに少しづつ性能レンジの異なる製品をリリースしてくれるおかげで、選択肢が非常に増えた事になるのは大変に喜ばしい。価格面でもいい競合関係にある結果、3万円切りでそこそこの性能のビデオカードが買えるのだから、ユーザーにとっても大きなメリットである。願わくば、冒頭にもちょっと書いたが、NAVI 14コアのまま24CU構成のものをRadeon RX 5600シリーズとかで市場投入し、更に選択肢が増えると、より嬉しいのだが。