◆ PCMark 10 v2.0.2144(グラフ26~29)

UL Benchmarks
https://benchmarks.ul.com/pcmark10

一応アプリケーション性能に大きな差が無い事を確認のため、PCMark 10も実施してみた。

まずグラフ26がOverallであるが、PCMark 10 Extendedを除くと殆ど同等といったところ。で、PCMark 10 Extendedで何が違うか? というとTest GroupでGamingが追加された事だが、そのTest Group毎の結果がグラフ27で、要するにGamingの性能だけである。

では個別のテストは? ということでテスト毎の結果を見たのがグラフ28で、案の定FireStrikeの結果がGeForce GTX 1660 Superで大きく伸びているのが主要因ということになる。ただPhoto EditingとかWritingでもそれなりの差が付いている。これはOpenCLを利用したベンチマークの結果が伸びているからである。要するにOpenCLでGPUを利用する場合、GDDR6の効果でGeForce GTX 1660 Superの方がより処理が高速に行えるから、ということであり、逆にそれを除くとあとはほぼ同等といったところであった。

グラフ29はOffice 365を利用したApplication Testの結果だが、もう結果は誤差の範囲であって、とりあえずゲーム以外のアプリケーション性能には差が無い事が確認できたとして良いと思う。

◆ 消費電力(グラフ30~36)

最後に消費電力をご紹介する。3DMark Firestrike Demo(グラフ30)、SuperPosition 2K Benchmark(グラフ31)、F1 2019 2K Benchmark(グラフ32)、及びFinal Fantasy XVベンチマーク 2K(グラフ33)を行った際のそれぞれの消費電力変動を示した。

殆ど差が見られない3DMarkと結構明確に異なるSuperPosition、その中間のF1 2019、平均するとF1 2019と大差ないが、ピークが凄いFinal Fantasy XVと、アプリケーションによって消費電力のパターンは色々である。

この4つの平均値、及び待機時の消費電力をまとめた結果がグラフ34、グラフ34で待機時の消費電力との差をまとめたのがグラフ35となる。そもそも待機時の消費電力は大差ない(というか、GeForce GTX 1660 Superの方が僅かに低い)が、動かすとそれなりに消費電力に差が出てくる。実際グラフ35での実効消費電力差の違いは

FireStrike Demo 3.9W
SuperPosition 20.0W
F1 2019 11.1W
FF15 18.2W

という感じで、5W~20WほどGeForce GTX 1660 Superの方が消費電力が増えるという結果になった。

ただこれ、GeForce GTX 1660ではメモリ帯域が足りず、シェーダが待機状態になっているのが、GeForce GTX 1660 Superではメモリ帯域が増え、シェーダがより動くようになった、というケースも含まれていると思われ、この5~20Wが全部GDDR5→GDDR6の増分という訳ではないと思われる。

ところでグラフ36は、それぞれのベンチマークを行った際の最大消費電力をPickupしたものだ。特にグラフ33の様に、スパイク上に消費電力が上がるFinal Fantasy XVの様なアプリケーションでは、グラフ34の数字だけ見て「300Wで足りるか」とか考えるのは早計で、350Wでもやや不足しており、最低でも400Wクラスの電源が要る事を示唆している(まぁこれはCPU側の構成にもよるから、ビデオカードだけの問題ではないが)。電源だけはゆとりがあるものを利用することをお勧めしたい。

◆ 考察

ということで駆け足であるがGeForce GTX 1660 Superの性能をご紹介した。結論で言えば、非常に良い仕上がりになったと思う。

GeForce GTX 1660比で10ドル(日本だと幾らになるのかはまだ不明)アップでここまで性能が上がれば十分であろう。GeForce GTX 1660だと2.5Kの利用はちょい厳しかったが、GeForce GTX 1660 Superではそれが大分緩和された感がある。もっとも、では既存のGeForce GTX 1660ユーザーに買い替えを勧められるか? といえばそれも微妙なところで、不足を感じて買い替えを検討しているのであればもっと上位のGeForce RTX 2060 SuperとかRadeon RX 5700の方がお勧めである。GeForce GTX 1660 Superはあくまでも「ミドルレンジの下の方のグレードで、予算3万未満で新規にビデオカードを検討している」ユーザー向けだろう。

ちなみに冒頭でGeForce GTX 1660 Aero ITX 6G OCを約2.5万で入手したとかいたが、実際には3万近い(or3万越え)の製品も店頭には並んでいた。こうした製品はよりOCの度合いが高く、デュアルあるいはトリプルファン構成になっているもので、要するにこのグレードの製品は構成次第で5~6000円位の価格変動があり得るという話である。先に「3万未満で」と書いたが、これはあくまで一番シンプルな構成の製品で3万未満という話で、発売当初は3万を超える製品がまず店頭に並びそうな気がする。このあたりが落ち着いて、あまりOCの度合いの高くないシンプルな製品が投入されるのは、若干時間を要する事になるかもしれない。