背伸びしてでも買いたくなる、「ZX507」の上質なサウンド

続いて「NW-ZX507」を聴いてみます。最初はIE 800 Sを3.5mmアンバランス接続でつなぎ、その後で4.4mm 5極のバランス接続に切り替えています。

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    「NW-ZX507」に「IE 800 S」を組み合わせたところ。アンバランス・バランス接続の両方で試しました

はじめにソースダイレクトをオンにして、上原ひろみ『Spectrum』をハイレゾで聴きました。ピアノのアタックがA100シリーズよりも柔らかく、音の芯がとてもしなやか。筋肉質で、無駄を絞った低音がスピード感にあふれています。空間再現は縦横、そして奥行き方向にも限界を感じさせません。音のつながりと余韻のきめ細かさは、ZXシリーズが対応するDSD音源のネイティブ再生時に輝きを放ちます(Aシリーズでは、DSD音源はPCM 192kHz/24bitへの変換再生となります)。柔らかくて暖かな毛布にくるまれているようなZXシリーズの上質なサウンドを一度でも味わってしまうと、やはり背伸びをしてでも本機を手に入れたくなってしまいます。

ボーカルはTofubeatsの「クラシカロイド モーツァルト ムジーク」から『アイネクライネ・夜のムジーク』(ボーカル:星咲花那)を試聴しました。艶っぽい声の質感と、広々としたホールで演奏を聴いているような開放感に満ちた音場の再現力。細かい打ち込みの効果音もディティールまでていねいにフォーカスを合わせてきます。

バランス接続のイヤホンケーブルにつなぎ替えて同じ楽曲を聴いてみると、音像の定位が一段と明瞭になって、ボーカルも自然と前に張り出してきました。まるで目の前でアーティストが歌っているようなリアリティに息を吞んでしまいます。Spotifyの音をA100シリーズと比べてみても、やはりZX507で聴くサウンドの音色は一枚ベールをはがしたように鮮やかで、低音の起伏と躍動感にもスゴみが感じられました。

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    ZX507の「W.ミュージック」アプリも、カセットテープ画面(スクリーンセーバー)を表示する機能を搭載しています