――さて、続いてお尋ねしたいのは、こんど坂本監督が手がけられる最新作『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』についてです。以前、坂本監督が作られた『ウルトラファイトビクトリー』(2015年)『ウルトラファイトオーブ 親子の力、おかりします!』(2017年)といった「ファイト」シリーズの系譜を受け継ぐ作品なのですか?

そうです。複数のウルトラマンが登場し、敵と戦いながらそれぞれの"絆"を深めていくという「ファイト」シリーズのテーマが継承された作品になります。今回は「ニュージェネレーションのヒーローたちが全員出てくる」というのが大きな見どころです。

――発表されたPVを拝見しますと、ウルトラヒーローたちが怪獣とバトルを繰り広げているのは、地球ではないどこかの惑星のようですね。『ギンガ』や『R/B』といった各テレビシリーズとの関係はどうなっているのでしょうか。

時系列的には、現在放送中の『ウルトラマンタイガ』の"前日譚"にあたります。やはり多くのヒーローが活躍するわけですから、戦いの舞台も宇宙規模でないと収まりません。ですから全宇宙規模で繰り広げられるスケール感となっています。

それぞれのテレビシリーズとの関連については、今までにも住む世界の異なるウルトラマン同士が"マルチバース"という解釈で遭遇するケースが何度もありましたし、僕の中では、各作品の世界観こそ違っていても、それを統括するひとつの「世界」というものがウルトラマンシリーズにはあると思っているんです。

僕が初めてやらせていただいた映画『大怪獣バトル ウルトラ銀阿伝説 THE MOVIE』(2009年)で"光の国"を描いたとき、次元を超えて『ウルトラマンダイナ』(1997年)のアスカ(演:つるの剛士)が出たこともありました。そういう考えで、ウルトラマンの世界は「次元の扉」を開くことによって、いかようにも共演が可能というつもりでやっています。ですから今回の『ウルトラギャラクシーファイト』では、"テレビとは別"というわけではなく、今までのシリーズを全部つなげたような世界観として、楽しんでいただきたいんです。ニュージェネレーションのウルトラヒーローたちをつなぐ存在として、ウルトラマンゼロも重要な活躍をしますので、期待していてください。

――今までの『ファイト』シリーズは地上波テレビ放送(『新ウルトラマン列伝』『ウルトラマンゼロ THE CHRONICLE』)の中の1コーナーという形態でしたが、今回の『ウルトラギャラクシーファイト』はYouTubeのウルトラマン公式チャンンネルにて週一回の配信という、新しいスタイルになりましたね。3~5分の「短編」エピソードを連続していくという「ファイト」シリーズの作り方の特徴について教えてください。

1話あたり、およそ5分という尺の中で、必ずウルトラマンの登場シーンや怪獣とのアクションを盛り込んでいるようにしています。連続していく中で「今回は戦いがなかったね」というエピソードがないように(笑)。この話ではこんなウルトラマンが出てきたけど、次はどんなウルトラマンが出るかな?というように、次週の配信に興味をつなぐような"見せ場""目玉"の部分を毎回ちゃんと仕掛けています。『ウルトラファイトビクトリー』『ウルトラファイトオーブ』のときも思いましたけれど、毎回、必ずウルトラマンのアクションを入れているので、全話つないでみると「ずっと戦闘シーンばっかり」だと思われる恐れがあるんですね。アクションもずっと同じだと飽きられてしまいますから、各話でさまざまな変化をつけなければいけません。実際、アクションの連続ではあるんですけれど、全話をつないで通しで観たときに、緩急がついていて、アクションとドラマがバランスよく配置されているように作るのが難しいところです。

――今回の特色として、通常の日本語版と同時に「英語吹替版」が配信されるということが挙げられます。これはYouTubeの特性を最大限に活かした意欲的な試みですね。

今やウルトラマンは日本だけでなく、世界各国にファンがいるコンテンツに成長しています。そこで今回、海外のファンの方々にも楽しんでもらえる「英語版」を作ることになりました。そうして、今はこんなに新しいウルトラマンがいて、大活躍しているんだよということをもっと広く知ってもらいたいと思っています。日本語版と共に英語吹替版を作って、世界同時配信。ウルトラマンで世界を牛耳ろう、という意欲に燃えています(笑)。

――『ウルトラギャラクシーファイト』だけに登場する新キャラクターの存在も楽しみなところですね。

「ウルトラマンエックスダークネス」と「ウルトラマンジードダークネス」はすでにイベントでも発表され、PVにも姿が出ています。この2人がどんな風にウルトラマンたちと戦うか、に注目してください。あとは、ライブショーや遊戯機で活躍していた「ウルトラダークキラー」が、初めて映像作品に登場します。そして、マレーシアで誕生したヒーロー「ウルトラマンリブット」が、日本の実写作品に初登場するというのも、大きなトピックスです。

――脚本の足木淳一郎さんとはどのような話し合いをされましたか?

足木さんは今までの『ファイト』シリーズで一緒に組んでいて、ライブショーの脚本も書かれている方です。なのでウルトラマン集合についてはいろいろなアイデアを持っていました。僕たちの打ち合わせはまず「何をやりたいか」のアイデアを出し合って、今回はこのウルトラマンを出してこのような流れで行きたい、なんていうラフな構成をまず僕が組んで、それを足木さんが手直ししていく。そういった作業を何回か繰り返し、キャッチボールみたいにしながら作り上げていきます。今回では、風呂敷をドーンと大きく広げて、これだけたくさんのウルトラマンが出てきて、ワルもたくさん現れて、どうやって戦っていくのか……という感じで、アイデアがどんどん揉まれていって完成していきました。基本的に『ファイト』シリーズにはキツイ"縛り"がなくて、わりと自由な構成で作ることのできる作品なので、お互いにアイデアを出しながら作り上げていくのは楽しい作業でしたね。

――複数のウルトラマン同士が互いに言葉を交わし、力を合わせて強敵に立ち向かっていくという展開は、1970年代終盤に大ヒットした内山まもる先生の『ザ・ウルトラマン』やかたおか徹治先生の『ウルトラ兄弟物語』といったコミック作品に通じるノリがあり、いつの時代においても子どもたちの心を熱くたぎらせるシチュエーションなんだと実感します。

まさにそんな感じです(笑)。あと『ウルトラギャラクシーファイト』では、せっかくニュージェネレーションが全部そろうのだから、そのくくりでカッコいい主題歌を……とお願いしまして、素晴らしいテーマソングが出来上がっています。かつて『ウルトラマンタロウ』(1973年)で「ウルトラ6兄弟」という胸躍る名曲がありましたが、今の時代にあのような「ヒーローの大集合」を歌いあげる曲が欲しいです! とリクエストしました。非常に楽しいシリーズに仕上がっていると思いますので、これからの『ウルトラギャラクシーファイト』の配信をどうぞお楽しみにしてください!

『ウルトラギャラクシーファイト ニュージェネレーションヒーローズ』は9月29日より、YouTubeのウルトラマン公式チャンネルにて毎週日曜あさ10:00より配信が開始される

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