――グリスパーフェクトキングダムを現場で直にご覧になったことってありますか?

芹澤:俺たちが撮影しているときには会えなかったね。

吉村:見てませんね。

栄信:俺は航平くんが最後の「変身シーン」を撮影するときに現場に遊びに行ってたので、本物のグリスパーフェクトキングダムを見てるんです。おお、カッコいいって思った(笑)。

武田:出番は終わってたけど「一緒に来いよ!」って栄信を誘ったんです。

――今回、一海と三羽ガラスが挑む「敵」となるマッドサイエンティスト・浦賀啓示と、彼が変身する「メタルビルド」についての印象はいかがですか?

吉村:浦賀を演じる趙(珉和)さん、カッコよかったですね!

芹澤:強敵あらわる!という感じでした。

武田:ほんとうに強敵でしたね。趙さんの姿を見たとき、大森さんも「これは本気だ」とか「観ている人もグッとくるんじゃないか」みたいな"凄み"を感じたと言ってました。

栄信:敵の印象が、趙さんの登場シーンに引っ張られているところがあると思います。最初、顔を隠して表情をはっきり見せないとか、あの感じは格好よかった。

武田:これまでの敵は地球外生命体だったけど、今回は"生身"の敵ですから。

栄信:俺たちも生身の人間、敵も生身。生身同士でバトルするっていうのは、『ビルド』の最後を飾るエピソードとしてはかなりリアル感があるなって。

武田:俺たちが挑む敵が「テロリスト」っていう設定も、武藤さんのホン(脚本)らしい社会的なテーマが込められていたね。

栄信:最初にホンを読んで「これ、どういう風に芝居するの?」みたいな、武藤さんからのメッセージというか、問いかけを感じました。「このホンをどう面白くしてくれる、お前ら?」っていう。

武田:お前ら、どこまで表現できる?って「挑戦」だよね。

栄信:ひとつのセリフでも、しっかりと意味のあることをしゃべらせてもらえていますから……。扱いを良くしていただいている分、プレッシャーはありましたね。

芹澤:無人島で遭難したところで、カシラに「俺たちの肉食ってください」なんていうシーン、どういったトーンでセリフを言えばいいのか、難しかったな。遭難しているから、ある程度弱ってないといけないし。

栄信:キャラクターをどこまで守って、どこまで壊してセリフを吐き出すかみたいなところがあったね。航平とも話していたんですけれど、赤羽がカシラに「一生後悔しますよ」と言うところは、戦兎と万丈でもない、幻徳とカシラでもない、「赤羽とカシラだから出せる空気感」を表現したかったんです。ほかの誰とでもない関わり方を見せたい、というのがすごくあって……。赤羽がつかんだ手をカシラが離す、なんていう芝居も事前に打ち合わせをしていたわけではなくてね。

武田:そう。あれは本番で気持ちが入り、急にやった芝居なんです。

栄信:お互い、思っていたことが近かったので、それが芝居にうまいことハマってくれたんだと思います。

――テレビシリーズで印象的だった「(カシラは)嘘がヘタだなァ」(黄羽)や「俺たちがいないと何もできねえんだから」(青羽)といった"名セリフ"もふたたび本作の劇中で聴くことができて、あそこのくだりは感動しました。

吉村:「相変わらず嘘ヘタだなァ……」をどういう風に言えばいいか、あそこは悩みましたね。テレビシリーズのときは黄羽が消滅してしまうとき、カシラに向かって言ってたんですけれど、残されるカシラにあまり悲しんでほしくないからちょっとおちゃらけて言う、みたいな感じだったんです。今回は、「この人のためなら自分の命を犠牲にしてもいい」という思いなので、「前とは言い方を変えないとな」と、正直答えが出せないまま現場に行きました。でも、この4人でやっていたのが長かったからか、テストをやった瞬間、航平くんの芝居のテンションにみんながうまく乗っかっていくというか、すごくいい方向に連れてってもらいましたね。撮影前は不安があったのに、なんか「こっちだな」という風に、演じてみるといい方向へとハマっていきました。

武田:みんなが同じ思いだからできた芝居だと思うよ。そういう雰囲気というのは、現場で自然とできていった気がします。

吉村:武藤さんの台本には、セリフひとつにしても細かく、詳しく書いていないところがあるんです。「武田航平なら、ここ膨らませるでしょ」みたいな"余白"を残している部分がね(笑)。

武田:でも基本は台本通りですよ。冒頭のナレーションとか、ここはアドリブで「お前好きなようにやれよ」みたいなところは思いっきりやってますけどね。

栄信:「いいんですか? いいんです!」ってカシラがテンション高めに言うところ、航平は事前に何度も練習していたよね。

武田:そう。あそこは台本を読んで「川平慈英さんのノリで行こう」と思って、モノマネを練習してたんだ(笑)。