◆性能と普及状況
ここまではSPECRate_int_Peakなどを使っての性能比較がメインだったが、実際にアプリケーションワークロードでの比較も色々紹介された。
科学技術計算の分野ではAltair RADIOSSを利用してのTaurus Crash Simulation(Photo23)とかGROMACSを利用してのLignocellulosic biomass Simulation(Photo24)などの他、様々な分野でXeonに比べて高い性能を発揮している事をアピールした。
またBlenderを利用してのライブデモ(Photo25)なども行われていた。
クラウド環境については、さすがにライブデモというのは難しかったようで結果のみの表示であったが、例えばAmazon AWSのEC2 M5aのコスト比較ではEPYCを利用したノードの方がコスト節約になるとされていた(Photo27)。Photo28はPublic Cloudを構成した場合のコスト試算で、EPYCを利用することでTCOを半減させられるとしている。
Photo29・30はVMmarkを実施した例で、vSANを使うケースとSANを使うケースのどちらでも、EPYC 7702が40%ほど密度を上げられるとしている。
講演の中でLisa Su CEOは「第2世代EPYCは80もの世界記録を作った」とアピールしたが、その内訳がこちら(Photo31)。細かなデータはこちらから参照できる。
これに加えて、OEMベンダーも第2世代EPYCサーバーを利用してやはり新記録を出している。Twitterは、第2世代EPYCを利用することで、同じ消費電力/冷却能力のまま、既存のサーバーからコアの数を40%増やすことに成功している(Photo32)と説明した。
CRAYはAMDと共同で2021年中に稼働予定のFrontierを既に受注しているが、これに加えて米空軍の天候シミュレーションに利用するHPC11というシステムをこの第2世代EPYCで構成し、2020年に稼働させることを発表した(Photo33)。
Microsoftは第1世代EPYCをベースとしたAzure HBv2の提供を開始することも発表し(Photo34~36)、これは第2世代EPYCをベースとしたものである。会場ではこのHBv2用のサーバーも展示されていた(Photo37,38)。
クラウドで言えば、Googleも自社のGoogle Cloud Compute Engineに第2世代EPYCを利用するアナウンスをしていたほか、HPEはProLiantとApolloのラインナップに第2世代EPYCを搭載した製品を同日から追加して出荷開始(Photo39)、Lenovoも8月に第2世代EPYC搭載製品を出荷予定で(Photo40)、DellEMCもやはり搭載製品を予定している事を発表した(Photo41)。
ソフトウェアで言えば、先にPhoto12でVMwareのSEV対応は"Contact Vendor For Schedule"となっていたが、会場ではVMware vSphere上でSEV対応を行ったプロトタイプの動作デモを行っていた(Photo42)。
I/O性能に関しては、AMDがRadeon Instinct MI50へのアクセス性能をデモしていた(Photo43)ほか、MellanoxがConnectX-6を展示(Photo44)していた。他にXilinxは前日に発表されたAlveo U50を展示し、Spark Query AccelerationでQuery 1が4.7倍、Query 2が6.5倍高速化されたと説明していた。
またSamsungは8月9日に第2世代EPYCに対応したSSDと高密度DIMMを発表したが、会場にはU.2タイプのPM1733 SSD(PCIe Gen4×4)が展示されていた(Photo45)。
なお、講演の最後で第4世代EPYCの開発コード名が「GENOA」であることが明らかにされた(Photo46)。